日本侠客伝 斬り込みのレビュー・感想・評価
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男には一生に一度たった一人でやらなければならない事がある。
今回のストーリーはかなり唐突です。いきなり中村真三(高倉健)が恨みもない組に斬りこみに行って、組長を殺すところから始まります。それはそれで終わって、警察に捕まる事もなく、次の町に流れていきます。
真三には幼い秀男(斎藤信也)という息子がいて、子どもの病気を治すための入院費が必要という事で地元の顔役の傘屋源蔵(石山健二郎)を訪ねて自分の命を預けるからと借金を申し出ます。そこでお金を貸すのも貸す方ですし、借りるのも借りる方だと思うのですが、それが元で秀男は元気になります。その子を一人で田舎に帰そうとするのですが、その子を駅から戻すのが源蔵の娘の京子(藤純子)です。そこからが凄いのですが見ず知らずの子を京子が連れて帰ってきて、自分の家に住まわせたりします。また源蔵は自分が過去に出来なかった東京の新宿で組を立ち上げて露天商たちを助けてもらいたいと言います。ほんの少し前まで全く知らなかった男に対してです。何の関わりもなかった男がいかにいい人物だったとしてもこの何日いや、何時間でここまでの信頼関係が築けるものでしょうか。そのあと真三は源蔵の家に秀男を残して、東京の新宿に源蔵の夢をかなえる為にまいります。
そこに秀男と一緒に来る京子です。その後に秀男が一緒にいるとはいえ、一軒家を借りて同居していきます。その時に京子は秀男に「お姉ちゃん」と言わせるのでなく、「お母ちゃん」と言わせたりするのです。
この辺のリアリティのなさがあったせいでもあるのでしょうが、他の敵対するものも何だか嘘くさく感じてしまいました。
ラストに斬りこみに行って相手方を殺したにも関わらず逃げたあとの最後のシーンが和気あいあいと真三、京子、源蔵、秀男の4人で露天商たちが商いをやっているところを歩くシーンで終わります。敵役が悪い事をしていたといっても、殴り込みに行って親分を殺しているんですから、何だか違和感をかなり感じてしまう作品でした。
この頃の新宿はかなりの田舎でこれが本当だと思ったら、笑ってしまいました。
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