「歴史のお勉強」日蓮と蒙古大襲来 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史のお勉強
なんみょうほうれんげーきょ♪という音楽で始まるこの映画。蓮長(のちの日蓮)は11歳で念仏で名高い清澄寺に入り、従来の法華経の南無阿弥陀仏を南無妙法蓮華経と唱える。1253年、31歳のとき日蓮と名を与えられ、清澄寺を出た日蓮は日昭(黒川弥太郎)という弟子を得て、鎌倉にて辻説法を始める。寺を建立して念仏を唱えれば幸福になるという法華経では飢饉や政治の混乱を回避することはできない。ちょっと説法を聞いただけでも正しいと感じさせる。日朗という少年僧も登場するが、長谷川一夫の息子・林成年だ。
松葉ヶ谷の草庵が焼き討ちされるも難を逃れ、その直後の鎌倉大地震の後、民衆を救おうとしていたときに捕まり、日蓮は伊豆へ流される。一瞬の地震だったが、地割れのシーンなど、ビックリするほど迫力があった。
日蓮の予言通り、博多に蒙古の使者がやってきた。またまた信者が増える。そして龍ノ口で処刑される段となった日蓮。首が斬られそうになった瞬間、奇跡が起こり雷雲が刀を折る。そして時の執権北条時宗が処刑を中止させるのだ。なんだか小さい雷雲と雷。そして今度は佐渡へ流罪だ・・・困難にもめげず、鎌倉へ戻ってくると、今度は博多に蒙古襲来の報せ。蒙古の軍勢もさることながら(10万だと言ってた)、対する日本軍の数も夥しいものだった。左卜全が兵を笑わせようとしていたけど、なぜこんなシーンが必要なんだろう?
全体的に余分な部分が多すぎる。四条家の確執とかもよくわからなかったし、主役の長谷川や時宗役の市川以外の俳優が何を言ってるのか聞き取れないシーンが多い。ラストの戦闘シーンも歌舞伎のようだったし、逃げまどう漁師たちだけが迫力あった。神風を起こすシーンではそれまで本物に見えた何百もの軍船がおもちゃのように沈没し始める。
それにしても、神風やら何やら軍国主義日本を思い起こさせる内容。立正安国論が日蓮の全てなのかもしれないが、元寇を退けたのはそのおかげなのか?わけがわからない非科学的なことをするから、八紘一宇などという軍国主義に利用されるんじゃないのか?最後の最後になって日本人だけが助かればいいという発想に、仏教に幻滅させられてしまった・・・
また、wowowでの放映鑑賞だったのだが、放送上留意すべき表現云々で音声カットされていた部分がいくつかあった。それじゃ“蒙古”という言葉はどうなんだ?と、いろいろ考えさせられる作品(笑)