劇場公開日 1959年9月13日

浪花の恋の物語のレビュー・感想・評価

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浪花の恋の物語

2025年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

神保町シアターで内田吐夢 監督『浪花の恋の物語』鑑賞。これってキャバ嬢を本気で好きになっちゃって、何度も通ううちに店の売掛金が払えなくなって、顧客の金を横領したってみたいな事でしょ。近松がいた頃と変わらんなあ。売り買いされる遊女の悲しみが、有馬稲子嬢の名演から伝わってきたっス。#11

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はにわさん in 2025

5.0ただ流されていく

2025年10月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

1959年。内由吐夢監督。近松門左衛門「冥途の飛脚」を映画化。飛脚問屋の養子の主人公はまじめ一筋。店の一人娘と結婚して後を継ぐことが決まっている。しかし、いやいや連れていかれた遊郭で出会った梅川にやさしくされ、一度は思い切って別れたものの、御大尽に見受けされる話を聞いて競争心が芽生え、超えてはならぬ一線を越えて店の金に手をつけてしまう、という悲劇。
片岡千恵蔵が近松門左衛門として登場し、梅川がいる遊郭に逗留して悲劇的な物語を実際に見聞きしている。そこから浄瑠璃の脚本を構想するなかで結末をアレンジする、というメタ構造になっている。事実のなかに時代や人間の本質を見抜いて物語化する、という近松の目のアップで終幕となる。
主人公も遊女も相手のどこに惚れたという心理的な説明がほとんどなく、周囲の思惑と金の行方だけで事態があれよあれよと進行していき、気づいたら追い詰められている。しいて言えば「無意識的な欲望」はあるものの(ライバルがいると奪いたくなる、嫌なものは嫌、など)、基本的にはただ流されていく二人。これが切ない。
近松の妄想として、萬家と有馬の道行的な踊りがインサートされる。かたや萬家は歌舞伎役者、かたや有馬は日本舞踊を教えることができるだけあって、この踊りと衣装がとても美しい。この映画を機に萬家錦之介と有馬稲子は結婚したとwikiにありました。

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5.0ドリアン・グレイの肖像

2024年3月8日
Androidアプリから投稿

大スター同士の結婚第一号でしたね。芸術が人生を模倣するのではなく、人生が芸術を模倣するってやつですか。
役を血肉化させる錦ちゃんはまさに和製マーロン・ブランド。マシュマロのような肌に触れてしまえそうな有馬さんは和製マリリンモンロー。
虚構と現実の境が見えなくなっても仕方ない。こんなはまり役に出会えた役者は幸せでしょう。スター同士の恋愛というタブーを犯してまで惹かれ合う2人。
忠兵衛と梅川のどんなに汚されても汚されない純粋さ、それはまさに錦ちゃんとネコちゃん、稀有な役者の資質そのもの。

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こうた