「世間から隔絶した老人喜八を演じた三國連太郎氏の円熟味のある迫真の演技は一番の見どころ」夏の庭 The Friends 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
世間から隔絶した老人喜八を演じた三國連太郎氏の円熟味のある迫真の演技は一番の見どころ
Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下さんにて「第80回ベネチア国際映画祭」クラシック部門で最優秀復元映画賞受賞した相米慎二監督作品『お引越し』と『夏の庭 The Friends』の4Kリマスター版が《凱旋》公開。上映後には『セーラー服と機関銃』で助監督デビューした黒沢清監督、行定勲監督、瀬田なつき監督、森井勇佑監督、山中瑶子監督、映画ライター金原由佳氏のトークショーも開催。
『夏の庭The Friends』(1994)
「死」について興味関心を示した小学6年生男子3人組が近所の独居老人の死を目撃しようと監視をするうちに老人・傳法喜八(演:三國連太郎氏)と心を通わせ、廃墟同然だった老人宅を整理、庭にコスモス(秋桜)を育てながら、老人の隠された過去を知っていく…ハートウォーミングな秀作。
公開当時は3人組のキャラ設定が『ズッコケ三人組』に似ていたので途中まではイメージを重ね合わせて観ていましたが、ラストの喜八氏の死にグッと来た記憶がありましたね。
今回4Kリマスターに生れ変わったので、夏の抜けるような青い空、庭の緑、ラストのコスモスのピンクがさらに美しく映えていました。
本作では何といっても世間から隔絶した老人喜八を演じた三國連太郎氏の円熟味のある迫真の演技は一番の見どころ。本作前後に出演した『利休』(1989)、『息子』(1991)、『ひかりごけ』(1992)どれも名作ですね。
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