「【昭和31年、”最早、戦後ではない”と言う社会認識に対し、小栗康平監督が強烈なアンチテーゼを映像化した作品。】」泥の河 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【昭和31年、”最早、戦後ではない”と言う社会認識に対し、小栗康平監督が強烈なアンチテーゼを映像化した作品。】
ー 舞台は昭和31年の大阪安治川河口。川沿いのうどんやに住む少年ノブオと両親と、対岸に繋がれた廓舟の姉弟(キッチャン)との出会いと別れを描いた作品。ー
■感想
・宮本輝の小説は、文壇デビュー後、かなり後に読み込んだ。「青が散る」を”友人”に贈られたことが切っ掛けである。今作は、文庫で読んだが、余り記憶に残っていなかった・・・。
・映画を観るのは初めてである。昭和31年と言う時代、日本は戦後高度経済成長期の前であったと学んだ記憶があるが、今作でも彼の大戦の傷を引きずった人々が多数出てくる。
それは、ノブオの両親であり、キッチャン一家の生計を自らの春を鬻ぐ事で支える母(加賀まりこ:2度しか、画面には現れないが着物姿の余りの美しさに、驚く。)である。
<淡々としたトーンで物語は進むが、世間の目を気にせずに、ノブオの両親がキッチャンたち姉弟を精一杯もてなすシーンなど、印象的なシーンが、彼の大戦で傷ついた人々の姿を、リアリティ溢れる姿で描き出した作品。>
■最近、想う事
・ハリウッド大作及び邦画でも公開延期になる作品が増える中、映画は映画館で観るモノである・・、と言う想いはありつつ、配信を利用するようになり、そろそろ一年が経つ。
有難いのは、今作の様な年齢的に観ることが出来なかった映画が、配信されていることである。(最近、増えている気がする。)
とともに、”え、この映画もう配信するの・・”という映画もチラホラ出てきている。
痛し痒しであろうか・・。
コメントする