トラック野郎 天下御免のレビュー・感想・評価
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【男女トラック野郎の心意気と、家族の絆を描いた作品。そして、トラック野郎シリーズと寅さんシリーズとの違いを少し考えるの巻。】
■四国にやって来た桃次郎(菅原文太)とジョナサン(愛川欽也)は、途中で四国八十八ヶ所巡礼中の我妻和歌子(由美かおる)と出会う。
桃次郎は彼女の美しさにいつものように一目ぼれする。
ちょうどその頃、トラック仲間から恐れられている「コリーダ」こと須田勘太(杉浦直樹)が現れ、桃次郎に運転勝負を挑む。
◆感想<寅さんシリーズとの相似、違いを考える>
・桃次郎は人情に厚く、惚れっぽい。寅さんとおんなじである。但し、桃次郎はちょっとお下品な所(下ネタが多い)が、ご愛敬である。
で、必ず振られる。今作でも和歌子には想い人がいて、桃次郎は潔く身を引く。
ココも、寅さんと同じである。
・更に、トラック野郎シリーズは当時人気だった人(今作では、マッハ文朱:良く知らなかったのだが、女子プロの人気レスラーだったそうである。)を登場させるが、ここも寅さんシリーズと似ているよね。
・桃次郎はトラック野郎なので、描かれる場所が目まぐるしく変わる。今作では四国から松山、鳥取の境、そして京都。
ここは、乗り物嫌いの寅さんとは違うよね。
・又、ジョナサンが請われて、三女のサヤ子を知り合いのドライブインの子の無い夫婦に養女に出すが、サヤ子の実親を想う気持ちが沁みるし、最後再び大家族に戻るシーンも良かったな。家族は、いつも一緒でないとね。
・大体、序盤で桃次郎のライバルみたいな男が現れる。今作では「コリーダ」こと須田勘太である。それにしても、このシリーズのライバルは大体変なカタカナの異名がある。カムチャッカとか、ボルサリーノとか。クスクス。
で、この男が最初は桃次郎と相まみえるのだが、後半は彼を助けるのである。
今作で言えば、「コリーダ」が自分の牛が出場する宇和島の闘牛で、桃次郎を儲けさせる所。
・そして、再後半の見所として、桃次郎は常識的では到底無理な時間で、漢気を見せて、荷を運ぶのである。
今作で言えば、桃次郎のトラックに接触し、弾みで女の子桃子を産んだ千津(松原智恵子)とイロイロと訳が有って別れていた気の良いトラック野郎の彼女の夫、ボロ松が事故を起こし運べなくなった荷を桃次郎と、千津はトンデモナイ崖の道を通りながら、鳥取の境港から京都の中央卸売場までトラックをブッ飛ばすのである。
ハラハラドキドキする中、桃次郎は無事に時間通りに荷を届け、且つ再会した千津と入院していたボロ松を見舞った後に、闘牛で儲けた大金をさり気無く病室に置いて去るのである。桃次郎、良い漢だなあ。
この頃は、高速道路が発達していなかったために、”超裏道”(前作では、吊り橋だった。)を通るシーンが、スリリングだし裏道を如何に知っているかが、トラック野郎のステイタスだったのだろうな。
<トラック野郎シリーズを第四作まで観て来たが、今作でトラック野郎シリーズの骨格が出来上がったのではないかと思う。
桃次郎と言うキャラクターも、とても魅力的であり、私は好きである。何回も書いているが、アノ菅原文太さんが、美女を前にすると”俺”から”ボク”に口調が変わるシーンは特に好きだな。
寅さんとは基本的に似てはいるが、今作は桃次郎と言う情に厚い男のキャラクターが確立した作品だと思うな。
これからも、この面白いシリーズを少しづつ観て行こうと思ったよ。ヤッパリ、人気の有ったシリーズは、その理由がキチンとあるんだよね。>
鈴木則文監督の良い意味でのいい加減さが全開
オープニングは、田中角栄を意識した様な政治家を演じるゲスト出演の金子信雄。
これを蹴散らし男一匹桃次郎が行く。“あの有名ヤクザ映画”のファンならば拍手喝采の場面だ(笑)
今回の舞台は、倉敷・宇和島・松山・境港。でも殆どがセット撮影ですけどね。
いきなり宇和島のジャンヌダルクことマッハ文朱と勝負してしまう桃次郎。蹴散らしたのは良いが、彼女の仲間に取り囲まれ窮地に陥る。
かくなる上は…まさかそんな手を使うとは(笑)
ヒッチハイクの女子大生と知り合い、シリーズお馴染みの“臭い仲”。更に盛り上がらんとする桃次郎(笑)するとそこに、四国巡礼中の美人由美かおるが登場。
勿論桃次郎一目惚れ。
「今いやらしい奴がいましてね!懲らしめてやろうとしたんですよ!」(笑)
場面は変わり当時の映画界で象徴的な出来事であった、『愛のコリーダ』裁判に引っ掛けたのか、“コリーダ”こと杉浦直樹が登場。
このキャラクターがまた傑作。闘牛の町宇和島だけに、闘牛士とフラメンコを真似た様な奇妙奇天烈な扮装(笑)
トラック勝負を挑まれ戦うが、途中で身重の松原智恵子を助けた縁で名付け親に。別れた旦那がトラック野郎と言う事実を知る。
再び場面は変わり倉敷のドライブ・インの食堂。
桃次郎とジョナサンは巡礼美人の話で盛り上がる。しかし、由美かおるにこの食堂への就職先を紹介したのはジョナサンの方。逆に桃次郎が紹介したのは松原智恵子の方。
これが後々誤解を招く。
ところでこの食堂を切り盛りするのが唄子啓介のコンビ。子宝に恵まれ無いからジョナサンに泣き付く。
ジョナサンは反対するが、何度も泣き付かれほだされた愛妻春川ますみが…。
子はかすがい。幸せな食堂夫婦。
一方ジョナサン家は、巡礼美人由美かおるとのツーショット写真が大問題に発展。
そして桃次郎は当然の様に今回も手紙でプロポーズ。しかし啓介がこれまた当然の如くに勘違い(笑)
生活安定の為に一匹狼を止めるジョナサン。父親を待つ娘。切ない親子物語が展開される。
何とか大団円でこの問題は解決するが、再びコリーダが登場し、再戦決着へ。しかしコリーダの妹は…見事にお返しを喰らう桃次郎(笑)
由美かおるは留学を希望。それ以外にも何かとお金が入り用で…。すると桃次郎お金を作らんと博打三昧。
ここは宇和島。コリーダから一発大勝負を進言される。
新たな仕事先で、パンクして困っている時に知り合った男が実は…と知るジョナサン。
大晦日にその男が事故に…。一肌脱ぐ桃次郎。
松原を乗せトラック野郎の心意気を発揮する。
肝心の恋はまたしても実らず、男やもめは今日もどこかで走っている。
鈴木則文監督の良い意味でのいい加減さが全開(笑)特に杉浦直樹と菅原文太が大喧嘩を始め、蜜柑工場にまで波及する場面。ベルトコンベアに乗せられ、場違いな大きな箱が2つ。この馬鹿馬鹿しさこそが則文映画の真骨頂と言える。またトラック勝負の場面や、クライマックスでの山越えの場面で、バレバレな位にミニチュアを使用しているが、それもまた楽しからずや。
ワンシーンのみコメディリリーフで出演の、由利徹]]と南利明]]できっちりと笑う(笑)
「もう一生牛肉は食べない!」
この嘘つき野郎が(笑)
元気が出る
午後のロードショーの文太さん追悼で放送されて、シリーズを初めて見た。盛りだくさんの楽しい映画だった。文太さんや愛川欣也が楽しそうで見ていて元気が出る。
コブつきやブスといった女性には非常に冷ややかところも、正直でよかった。
家族や子供を持つことを素晴らしさを語っていて、そういうところもよかった。
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