劇場公開日 1976年8月7日

「松鶴家千とせさんを偲んで」トラック野郎 望郷一番星 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0松鶴家千とせさんを偲んで

2022年2月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

楽しい

初鑑賞

監督は『温泉スッポン芸者』『ドカベン』『コータローまかり通る』『パンツの穴』『伊賀のカバ丸』の鈴木則文

脚本は『御金蔵破り』『魔界転生』『南極物語』『白蛇抄』の野上龍雄と『麻雀放浪記』の澤井信一郎

昭和の人気娯楽映画シリーズ
松竹が寅さんなら東映にはトラック野郎
ヤクザ映画で名を上げた菅原文太が長距離トラックの運転手に扮した熱く下品な人情喜劇第3弾
昔桃太郎
今桃次郎

舞台は北海道
網走釧路札幌静内
小清水原生花園阿寒国立公園公園美幌峠襟裳岬

川崎の運ちゃんが仕事で北海道を突っ走る

冒頭広島
重量オーバーの検問で行列を作るデコトラの面々
川谷拓三&室田日出男といった強面のお巡りさんに臆することなく「わかんねーだろーな」とかましてくる心臓の毛が生えた運ちゃんは松鶴家千とせ
つかみはOK
お巡り2人に偽情報を流し居なくなったところで検問を突破する一番星桃次郎(菅原文太)とやまめのジョナサンこと松下金造(愛川欽也)

一番星はわりと背は高いし男前だけどなぜか振られっぱなしの独身
ジョナサンはお腹の子供を含めたら10人の子を持つ8畳一間の借家の主

とにかく下品で馬鹿馬鹿しい鈴木則文の真骨頂
ジョナサンの子供たちも連れて地元のトルコ風呂
当然おっぱい丸出しのトルコ嬢わんさか
常連客一番星に挨拶するため顔出しするエロに暗さがないとにかく明るい女たち
子供たちの手前トルコでやりたいこともできず欲求不満
仕事で北海道に向かう途中のフェリーで完全に勃起している一番星
船から身投げをしようとする若い女を止めようとなぜか背後から腰を動かす一番星に自分は苦笑い
キャンプ中に一番星の暴走でテントが飛んでお尻丸出しの女が登場する男性諸君に対するこれでもかこれでもかという性的サービス

デコトラを中心にカーアクションあり
一番星が2度も釧路の港から札幌の市場にトラックを走らせる
1度目は競走でカムチャッカに負けるが2度目はカムチャッカや運ちゃん仲間の助けを借りて大暴走
2000万の魚をギリギリセーフで無事搬送
76年公開当時釧路から札幌までは普通なら6時間以上はかかるので到底5時間なんて無理な話
今でこそ高速道路ができて4時間半足らずで着くようになったけど一番星無理が通りば道理が引っ込む

北海道に宮城県と呼ばれている運ちゃんがやまめの家族全員を連れてやってきた
家族は一番星とジョナサンに合流し観光を楽しむ
帰りの宮城県はタイヤがバーストし都はるみの歌とともに崖下に転落し死亡
公演で札幌に来ていた都はるみは一番星に頼まれ宮城県追悼の盆踊り大会で歌を歌う理解に苦しむ謎の展開
台湾の葬式をバカにできないシチュエーション

獣医も匙を投げた生まれたばかりなのに瀕死の仔馬の腹を一番星が一晩中撫でて救うホロっとくる場面も
そして黙って仔馬の誕生を祝うバースデーケーキを置いてデコトラに乗り込み去ってゆくカッコいい一番星

主人公の一番星こと星桃次郎に菅原文太
やもめのジョナサンこと松下金造に愛川欽也
今回のマドンナで競走馬を育てる牧場を経営している三上亜希子に島田陽子
三上牧場の使用人に高品格
ジョナサンの嫁・君江に春川ますみ
北海道で一番星のライバルになるトラックの運ちゃんカムチャッカこと大熊田太郎次郎左衛門に梅宮辰夫
トラックの運ちゃんで一番星とトラブルを起こすお涼こと浜村涼子に土田早苗
お涼の弟・浜村紅夫に小倉一郎
釧路港で食堂を営む姉妹に海原千里万里

その他トラックの運ちゃんの一人に小林稔侍

コメディアンがチョイ役で多く登場するのがこの映画シリーズの特徴の一つ
トラックショップ店主に由利徹
船上の詐欺師に笑福亭鶴光
楽屋で都はるみの隣にした支配人に南利明

あんな大型トラックで吊り橋を渡るなんて無謀
ハラハラドキドキした

野川新栄