トキワ荘の青春のレビュー・感想・評価
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【”人が人に対して優しい心を持っていた時代” 梁山泊の様なオンボロ”トキワ荘”から昭和の名作漫画の数々は生み出された。そして、皆、夢を持ち、優しき心を持っていた・・。 】
ー デジタルリマスター版という事で、冒頭にとても素敵なコメントを本木雅弘さんが観る側に優しい笑顔を浮かべながら、話しかける。
現況を踏まえた、とても優しい言葉を・・。ー
■感想
・本木雅弘さんが演じたトキワ荘の兄貴的な立ち位置にいた寺田ヒロオの、自分の書く漫画が時流に乗り遅れていく事を自覚しながも、自らの漫画道を究めようとする姿。
そして、大好きな野球を草野球していた子供に土手で投げてあげるラストシーン。
ー 本木さんの演技が、どこまでも抑制した優しさを湛えている。ー
・トキワ荘から売れっ子になった手塚治虫が、引っ越すシーン。そして、その後の日本漫画を牽引する事になる、若き漫画家の卵たちが次々にトキワ荘に引っ越ししてくるシーン。
石ノ森章太郎、藤子不二雄ペア、赤塚不二夫・・。
ー 滔滔たるメンバーであるが、淡々と描かれる。カット割りも短い。当時のノンビリとした雰囲気が漂ってくるようだ。ー
◆沁みたシーン
・行き詰まり、編集者(きたろう)から、”誰かの模倣の漫画だ、才能がない。”と言われてしまった赤塚不二夫。その編集者が、売れっ子になっていた石ノ森章太郎の原画を取りにトキワ荘に来た際に、さりげなく”彼、こういうの、意外と得意なんですよ・・”とアシスタントとしても使っていた赤塚の原画を見せるシーン。
そして、連載が決まった赤塚が石ノ森の部屋の前で、蹲りながら”有難う・・”と小声でお礼を言う姿。
ー 何気なく、お互いの状況をトキワ荘の住人達はみていたのであろう。ー
・皆で、夕食を取っている時に、売れっ子になっていた石ノ森章太郎と藤子不二雄が編集者達に呼び出され、赤塚も手伝いに・・と席を外し、最後、寺田と森安だけが、部屋に残るシーン。
ー 残酷なシーンをさり気なく取る市川準監督の手腕。ー
・鈴木はアニメーションの道を選び、森安は夢半ばにして”誰にも言わずに”トキワ荘を去り、そして寺田も・・。ー
<過酷な生き残り状況なのに、トキワ荘の住人達は、常に他の住人達を見守っている。その心優しき梁山泊のような所から、戦後の数々の漫画が生み出されていったのだ。
市川準監督が、淡々としたトーンで、熱き漫画を突き進む青年たちの成功と挫折を描いた作品。>
<2021年5月8日 刈谷日劇にて鑑賞>
初見だが懐かしい映画
2021年映画館鑑賞25作品目
3月8日(月)フォーラム仙台
元になった『まんが道』はまだ読んだことがない
当時は映画館で映画を観る習慣は無かった
公開後ソフト化された際に今は無き英知出版の『ビデオボーイ』というエロ雑誌に今月の一般作の一つとして紹介されこの作品の存在を知った
記念撮影した際の写真が載っていたが寺田ヒロオ役のモックンだけイケメンであとは変な顔の知らない人たちだった
彼らは当時小劇団の若手俳優でテレビや映画にあまり出たことがなかったらしい
それがのちの古田新太であり生瀬勝久であり阿部サダヲであり鈴木卓爾なのだ
初めて観る映画だがどこか懐かしい
もちろん自分が生まれるかなり前の時代の話である
何よりも懐かしいのは水野英子役の松梨智子である
映画監督を辞めて熱海の宿で仲居をやっているらしいが映画界に復帰してくれないものか
本編始まる前にモックンの挨拶
当時を振り返り作品と監督への思い
そして当時の自分の演技に対する後悔
『あの頃。』でも本編前に出演陣(恋愛研究会)が揃って挨拶したが舞台挨拶しにくい昨今こういう試みは悪くない
作品内容は眠くなるような内容だ
平坦でとても静かだ
小津安二郎監督を師事しているのだろうか
自然な芝居に拘ったのかセリフが聞きづらい
藤子不二雄も赤塚不二夫も石森章太郎も作品は大好きなのになぜこの映画を観なかったのか
忘れていた
僕は市川準監督作品が昔から苦手だったのだ
この作品を観てそれを思い出した
漫画家の青春を描いた作品なら『バクマン。』の方が断然面白い
チョイ役で桃井かおりや時任三郎が登場するが無駄遣いだ
心に染み入る
20代の頃に観た時はピンとこなかったのが、30代になって観たらスッと心に染み込んでくるような映画だった。違う国の話かと思うくらい今と生活のリズムが違う。この頃を生きてたかどうかで見える景色が全く違うんだろうな。
日常ですね
まんま、トキワ荘の日々を細切れに見てる感じだったかな。
途中、誰が誰なのか判らなくなっちゃって、少し眠くなりました。
本当に日常って感じで、それは、ある意味、リアルなのかなぁ…。
モッくんの表情が、とても良かったです。
何度見ても泣ける
子どもの頃大好きだった寺田ヒロヲの評伝を読んでから見ると、たまらない。なぜああいう形で人生の幕を下ろしたのか。後輩にやたらと慕われがち(と思ってるのは本人だけで、実は利用されてたりする。でも懲りずに何度も繰り返す)な自分が重なって。
いい人を描いた真面目な映画の礼儀正しい演出タッチ
漫画家を目指す若者が生活を共にしながら確実に成長していく過程を静かにゆったりと描いた市川準監督の抑えた演出タッチが勝る映画。テレビ見学では作者に申し訳なく感じる程、真摯に映画を創作している。ただこの物語の語り口として、これが最も面白いやり方なのかの疑問が残る。昭和30年代の雰囲気は良く再現されているだけに、脚本と演出がもっと主張してもいいのではないか。主人公寺田ヒロオの善人性が突出しているのに対して、他の登場人物の個性が其々描き切れていない。また脇役に桃井かおり、時任三郎と出演しているが、なくてはならないシークエンスにはなっていない。
主人公を奇麗ごとだけではない視点、漫画家仲間から尊敬される人間性と違う一寸人間臭い側面も取り入れたならば深みが出たと思う。映画表現からも、食事シーン、編集者との関係、漫画創作カットと丁寧に描いて欲しかった。
映画的なメリハリは一切といっていいほど排除されています
抑制された演技、会話、演出
特に会話の声は小声で明瞭には発声されない
少ない光量の撮影
映画的なメリハリは一切といっていいほど排除されています
自然であるということ
そこは斬新であるとは思います
当時を再現する細部へのこだわりの集積がそうなさせているのだと思います
誰にしもある若い日々の自己の才能を信じてがむしゃらに働く時代
そして夢が敗れる日も大抵の人に訪れます
そこに共感を感じますが、大昔の巨匠達への思い入れが猛烈になければ、2時間は長い退屈な時間に思えたのも確かです
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