「義憤は大義を超えるか?」動乱 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)
義憤は大義を超えるか?
当時、このクニが、軍事費ばかりに金を使い、国内政策しなかったことが、悔やまれます。陸軍大臣と、海軍大臣が否決すると、内閣が成り立たなかったからです。富国強兵の行き着く先は、貧国強兵でした。結果、彼らは決起することに…。
2・26が起きた時、統制派の面々は、何もしなかったそうです。様子見です。ところが、時の帝が、例の勅命を、思わず下知したことで、慌てて鎮圧したそうです。つまり、統制派は皇道派すら、利用できるなら利用する、そんな清濁併せ呑む人達だったようです。映画では、少しオツムが足りない人達扱いでしたが。
個人の思いですが、青年将校をテロリスト扱いするのも、英雄扱いするのも、私は望みません。もちろん、自らの義憤の為に、他者を弑虐することが正しいとも思いません。
国内の窮状を、対外戦争で解決する。これを妨げる現行政府は、武力をもって排除する。無私の志からだとしても、これはちょっと…。財政面で軍を抑えていた、高橋是清を喪ったのは、痛恨の極みでした。唯一の救いは、瀕死の重傷から、鈴木貫太郎が生還したこと。彼がいなければ、ポツダム宣言受諾に繋がる、あの御聖断が得られなかったかも…。皇道派の暴発は、後の統制派の暴走を誘発することに…。
私としては、彼らを人として捉えたい。彼らの義憤は、全て間違いだったのか?。後世は彼らを、美化するだけでいいのか?。否定するだけで済むのか?。一元的な判断で、全て解決するのか?。
世界は再び、乱れ動いています。この事態、武力だけで解決します?。白黒つけるだけで、片付きます?。
もし、私達が歴史から何か学べるのなら、何を学びます?。
皆様の義憤は、世界を何処に向かわせますか?。