劇場公開日 1975年7月12日

「当時の日本のアクション映画としてはハイレベル。隠れた傑作!」東京湾炎上 mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0当時の日本のアクション映画としてはハイレベル。隠れた傑作!

2025年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

70年代当時では、大変よく出来たアクション映画だったと思う。
でも、なぜか評価が低い。

監督が石田勝心という、アクションものを撮ったことがない監督だったことや、本来、脚本も兼ねていたアクション映画の巨匠・舛田利雄が監督する予定だったのが、変更になったことなどで評価が低くなったのか?

演技は、同じ頃公開された「新幹線大爆破」(佐藤純彌監督、大好きな映画ではあるが)での感情過多でオーバーな演技と違い、抑えたリアルな演技で好感が持てる(丹波哲郎もいつものオーバーアクトではない!)。

そしてアクションシーンが素晴らしい。何より銃撃シーン(サブマシンガンで撃たれるシーン)の演出のキレの良さ。当時の日本のアクションものではなかったリアルさ(M3サブマシンガンは排莢までしている!)。その上、最後の水谷豊が水中銃で撃たれるシーンが怖いほどリアル。その迫力には初見時(1975年公開当時)は驚いたぐらいだった(このシーンで個人的には傑作が確定した)。

特撮シーンは東宝のお家芸で見応えがあるし(劇中の特撮監督役に中野昭慶本人が出演する予定だったが、スケジュールが合わず流れたとか)。

内容が荒唐無稽だとか、政府側の担当者がどのレベルの人間か分からなかったり、担当者が独断すぎるとなど設定の甘さはあるし、主人公の恋人(金沢碧)の中途半端な描きかたなどマイナス部分はあるが、テンポが良く、最後までダレるところもなく一気に見せるところもいい。

傑作とは、言えなくも、それなりの評価があって然るべき映画だと思う。

私はあの頃の日本のアクションものの中では、はかなりハイレベルの映画だったと思う。

mac-in