「スタンダードでもありオリジナリティーでもある、まさに記念碑」東京物語 SHさんの映画レビュー(感想・評価)
スタンダードでもありオリジナリティーでもある、まさに記念碑
今さら何か言うこともないくらいの名作なのですが、自分がこの作品を知るきっかけは外国人監督からリスペクトからで、初めて見たのは映画生誕100年を迎えてから。いろんなメディアでドキュメンタリーなどの企画があり、雑誌などでも100年のベスト100とかあったり─。その中で、自分が記憶しているのは世界映画ベスト100という中で「東京物語」が堂々の1位になっていたこと。日本でなく世界で。キューブリックでも黒澤明でもなく。その1位を自分は見たことがなかったので、余計に衝撃を受けたのでした。
これはいかん!ということで、どうにか見ることができて(当時は古い名画を見ることは結構大変だったような…)、それがまぁなんとつまんないこと・・・正直、なんで世界のトップなのか理解できませんでした。3回ぐらい見てようやく笑えて泣けた記憶が蘇ります。しっかりと作品そのものと向かい合うことができたとき、しみじみと作品の良さを実感できた気がします。そして、何度も見ることにより、風景や風景、社会背景などの記録的な要素としても非常に重要な作品と感じるようになり、他の小津作品も堪能してなおさらこの作品の良さとオリジナリティーも感じるようになりました。シンプルかつ何度も繰り返されるような確固たるフィックス。静寂につつまれた笠智衆の座位は、お手本のようであり、その絵を真似ようとすれば陳腐になってしまいかねない、まさに唯一無二といった印象。ほかにも、尾道とか原節子さんとか、時代を越えて影響を受けたものは計り知れないような気がします。
とまぁ美辞麗句を並べ立てなくともその評価は揺るがないわけで、その評価や色眼鏡などはなるべく無視して、この作品の真の価値を見いだすまでじっくりと鑑賞してほしいものです。学びとかではなくそのドラマをしっかりと楽しんでください。