東京マダムと大阪夫人
劇場公開日:1953年10月7日
解説
藤沢桓夫が婦人生活に連載中の原作を、「愛情の決闘」の新人富田義朗が脚色、「純潔革命」の川島雄三が監督した。「嫁の立場」の高村倉太郎、「鞍馬天狗 青面夜叉」の木下忠司がそれぞれ撮影、音楽を担当している。「乙女のめざめ」の三橋達也、「君の名は」の月丘夢路、「きんぴら先生とお嬢さん」の高橋貞二、大坂志郎、「弁天横丁」の水原真知子、「シミ抜き人生」の北原三枝、「若旦那の縁談」の坂本武、「坊っちゃん(1953)」の多々良純、「鞍馬天狗と勝海舟」の丹下キヨ子などの他SKDから映画初出演の芦川いづみが出演している。
1953年製作/96分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1953年10月7日
ストーリー
東京西郊、俗に“あひるカ丘”の××紡績社員住宅地。西川隆吉の細君、大阪は船場育ちの房江と、伊東光雄の細君、お江戸は下町生れの美枝子は家も隣同志、ご亭主も同じ課の同輩とあって、一見にこやかな附合いのうちにも、何かにつけ張合う仲である。ある日、西川家に房江の弟八郎が訪れ、そのまま居候となる。宣伝飛行機の操縦士で、磊落な青年だ。時を同じうして、伊東家にも美枝子の妹康子が、古い「傘忠」ののれんをつがせようため、番頭徳平との結婚を強いる父忠一の手をのがれて、ころがり込む。磊落な八郎と、内気な康子はいつかそれとなく愛しあうようになる。ところが会社の星島専務の令嬢、心理学専攻とやらで男そこのけの張りきり娘百々子が、ふとその高慢の鼻を八郎にへし祈られた事から却って彼に大あつあつとなり、房江は二人の結婚の画策に夢中となる。ご亭主の栄進にかかふる一大事である。他方、康子の幸せのために美枝子も奮起した。大阪に出張した八郎を追って、百々子ともども房江は西下、負けじと美枝子また、ご亭主をかの地に派遣する。地の利を負った房江方が一応勝利を収めたかにみえて、あひるカ丘は八郎と専務令嬢の結婚のうわさで持ちきった。が、帰京した八郎は房江の専断にカンカン、康子以外にすきな人はいないと宣言する。美枝子は凱歌をあげるが、事の意外に房江は蒼くなった。--しかし、きっぱりと諦めた百々子の言葉で漸く愁眉をひらいた。