劇場公開日 1957年4月30日

「【小津安二郎監督作品の中では、異様に暗いトーンに驚く作品。原節子さんの母を観る険しい顔には驚いた作品でもある。】」東京暮色 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 【小津安二郎監督作品の中では、異様に暗いトーンに驚く作品。原節子さんの母を観る険しい顔には驚いた作品でもある。】

2025年9月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

■銀行に勤める杉山(笠智衆)は、次女の明子(有馬稲子)と二人暮らしをしている。だが明子は常に暗い顔をしている、
 長女・孝子(原節子)も夫の沼田の厭世的な態度が嫌で、幼い娘と嫁ぎ先から帰ってきている。
 その明子は、恋人の知人から自分のことを尋ねて回る女性(山田五十鈴)がいると聞き、気になっており、且つ恋人との間に出来た子供の事で悩んでいたのである。

◆感想

・私は年齢的には、小津安二郎監督作品はソコソコ見て方だと思うし、原節子さんの伝記も数冊読んでいる。だが、この作品は未観賞だったので、観賞してみた。

・驚いたのは、作品トーンの暗さである。秋子には一切笑顔が無く、孝子も笑顔は少ない。

・孝子の夫、沼田も嫌な男であり、秋子の恋人の学生も甘ちゃんのふにゃふじゃ野郎で、観ていて頭にくる。

・救いは、杉山と別れた女性を演じた山田五十鈴さんの、実の娘を心配する姿であろうか。

・だが、秋子の様は余りにも哀しいし、ふにゃふじゃ野郎に何らかの罰が与えられるわけではない。何故に、小津安二郎監督は今作の暗いトーンで映画を製作しようと思ったのだろうか。謎である。

<人間の善性を、描き続けた小津安二郎監督作品の中では、その暗いトーンが異様に思える作品。
 今作の準主役の原節子さんは、製作中に別作品の制作にも入ったそうだが、何かあったのかなあ・・。>

NOBU
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