「5時間のドキュメンタリー。後半の法廷ドラマが珠玉」東京裁判 minavoさんの映画レビュー(感想・評価)
5時間のドキュメンタリー。後半の法廷ドラマが珠玉
約5時間の東京裁判のドキュメンタリー。前半が裁判の罪状認否を戦争のリアル映像でみせ、後半は法廷ドラマって感じで重厚な映画体験でした。
いつかちゃんと見ないとと思ってた作品です。生涯ベスト映画「切腹」の小林正樹監督、音楽が武満徹コンビの約5時間のドキュメンタリー映画。
チケット売り場で5時間ほどかかりますけど大丈夫ですか?って全員に確認して大変そう。知ってたけど、改めて確かめられると、え?とか言ってみたりしたくなる。
今回行ったのが、東京都写真美術館のホールだったので、飲食の売り場もないし、席での飲食禁止だったのでそこが一番つらかった。5時間ですよ。
東京裁判って今の防衛庁でやったことは知らなかった。防衛庁は仕事で行ったことありますが、いまもあの裁判室あるのかしら。あと判決の翻訳してたハットリハウスはNHKドキュメンタリーでみたけど、引き上げ兵を反共スパイにして使ってたアジトですね。
前半パート、当時の映像を引用、編集して描きますが、だいたい知ってることなのでちょい辛かった。あまり知らない方の方が新鮮に楽しめるかも。
確証ないので話半分で聞いていただきたいのですが、南京事件の映像は中国の映画から引用して見せてますが、あれ捏造というか映画だから作り物じゃなかったかな?とか。何か虚実入り混じる感じも受けました。
👉鑑賞後調べたらビンゴでした。
民間での動きを見ると、昭和五十八年、東京裁判を撮影したフイルムを編集して記録映画「東京裁判」が製作された。日米が開戦するとアメリカで戦意高揚映画「中国の戦い」が製作され、そのさい南京事件が演出され挿入された。この演出された南京事件を、記録映画「東京裁判」は使用した。
ノルマンディー上陸時にアメリカ空軍がフランスを爆撃して民間人数万人殺した話とか最近わかったこととか盛り込まれないので解像度低めに感じたのも確か。広島の原爆のあといきなりソビエトが日本裏切って満州に侵攻したこともはっきり言って欲しかったな。
全部聞く機会のない玉音放送の全音声とか、アメリカが樺太についてソビエトと日本に二枚舌外交してたりと貴重な示唆もあります。
後半は法廷ドラマぽくなってここから本番という感じでおもしろかったです。日本人被告の弁護団がほとんどアメリカ人(すごいきちんと弁護してくれてる!)なのも知りませんでしたし、被告同士の裏切りとかあったのですね。裁判長がクセありでなかなかでした。あと裁かれた側、ひとりひとりに丁寧にフォーカスしてたのもよかった。
イメージだとA級戦犯、全員死刑って感じだと思いますが,一番刑の軽い人は、たった4年の懲役刑だったりと、かなり濃淡があったことも驚く。その人こそ、後に外務大臣までつとめて日本の国際連合入りを実現した、重光葵さんなのですけど。
東條英機さん、ひ孫さんにお会いしたことありますが、これ見ると戦後80年極悪人のレッテル貼られて気の毒になります。いつもの集団ヒステリーですやん。
マッカーサーが処刑の日に12月23日を選んだことは、公開当時は説明なくどういう日か理解できたかと思いますが、今見ると意味合いが伝わりにくいですよね。
12月23日は昭和天皇の誕生日です。