東海道四谷怪談のレビュー・感想・評価
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幻想と情念の世界‼️
そのおどろおどろしい演出に、いつ観ても背筋が凍りついてしまう日本怪談映画の最高傑作の一本ですね‼️物語はあまりにも有名な伊右衛門とお岩による「四谷怪談」‼️人間には誰しも良心・邪心というものがあると思うんですが、その邪心から湧いてくる欲望と、それに伴う暴力が、結局自らを滅ぼしてしまうという、情念のこもった教訓を残してくれる映画でもあります‼️中川信夫監督の演出も、美しい様式美とおどろおどろしい技巧が冴えわたってますよね‼️前半は比較的おとなしいんですが、毒を飲まされたお岩の髪の毛が抜けて、凄まじい面相になるおなじみ「髪すきの場」からぐんと盛り上がります‼️お岩と宅悦が打ちつけられた戸板に、二人の亡霊が天から舞い降りるように現れる‼️亡霊を振り払おうとして関係ない者を斬り殺してしまう伊右衛門‼️精神に異常をきたした伊右衛門の足元に現れる無数の蛇‼️畳の上でお岩を斬った伊右衛門の周りが瞬時に堀へ変わったり‼️天知茂さんのニヒルな熱演もホントにスゴい‼️そして怪談女優の筆頭、若杉嘉津子さん‼️「恨めしや伊右衛門、この恨みはらさずにおくものかー!」何という恐ろしいセリフ‼️ぐっしょり濡れたためにおぞましさが倍加したお岩‼️どこにでも現れ、逃げる伊右衛門をどこまでも追うお岩‼️ラスト、恨みを晴らしたお岩の霊が、昇る朝日の中を赤子を抱いて昇天していくその姿は、ひたすら眩しく、そしてとても美しい‼️昨今の国内外のSFホラーが束になってもかなわない名作ですね‼️
この恨み晴らさでおくべきか!
やっぱり、民家伊右衛門って、どうにもならないクズ男。と言うよりも、連続殺人鬼。
しかし、髪の毛が抜けてしまう様な毒って、なんの毒だろう。
あれか?
ガキの頃見たのはこの映画だと思う。
世の中にこんな悪い男いるのかと思った。親父が一緒に見ながら『民家伊右衛門はグズだ。お前もこうなるなよ』って言って、晩酌していた。親父はDV親父だったが『ウツ、カウ』はやらなかった。『飲む』は死ぬ5年前まで飲んでいたが。
もう一度見た。
「許してくれ岩」は無い。2025年9月1日
スチール画像とか
そんなのは見る機会があっても中々作品自体を観ることは叶わなかったが、ふとVODを見ると並んでいたので、初鑑賞する事になった。
何しろ60年前の作品である。新東宝など名前でしか知らないので始まった途端に「配給は新東宝だったのか?」と驚いてしまった。
全編に渡って民谷伊右衛門の身勝手さや中途半端な悪党感に「なんじゃコイツは?」と腹立たしい。
己の欲望の為に邪魔のなるものを何とかしたいのだが、それも直助に聞いては偉そうに「妙案があるのか?」と人頼み、自分では何にもしない。
相反して直助のクズっぷりは堂にいっており、まさにズルい小者で自分では決められない伊右衛門をリードしていく。
可哀想なのはお岩さんである。
貧乏暮らしに飽きた伊右衛門に邪魔扱いされても尽くそうと頑張るいじらしさなのに。
もう1人可哀想なのがお梅とその家族である。伊右衛門の剣術と見栄えに引っ掛かり、乱心した伊右衛門に殺されてしまう。
ついでに金貸しの生臭アンマの宅悦、スケベ心はともかく優しさは伊右衛門よりも遥かにマシで邪な想いもあるが、今までお岩さんにちょっかい掛けてない紳士ぶりに、割と良い奴感すら感じる。
この時代、あまりにも女性の扱いが酷いので女性の立場向上ってこんな時代から必要だったと思う。
作品自体は実に短くまとめてあるので、この後の始末はどうなった?とか気になる点も幾つかあるが、この作品こそが「THE四谷怪談」だとは思う。
昔はお岩さんの映画を撮るときはちゃんとお墓参りしてお祓いしてた話を聞いたものだった。呼び捨てもいけないと言う話を聞いた時から今でも呼び捨てするのに抵抗が発生するほどだ。
それほどにお岩さんは怖れられていた筈だが、今はあんまり聞かないなぁ。
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