劇場公開日 1960年4月10日

「マトリックスにつながるサイバーSF映画の始祖だというのは言い過ぎだろうか?」電送人間 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0マトリックスにつながるサイバーSF映画の始祖だというのは言い過ぎだろうか?

2019年12月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1958年の米国SF映画の名作「蠅男の恐怖」が元ネタ
蠅男のモチーフを省いて、電送人間のアイデアを殺人事件に流用したもの

電送装置のスキャンチェンバーのセットはそれの影響を受けているが、スキャンシーンの映像効果は独創的で素晴らしい出来映え
電送原理をなんとなく映像で納得させてしまう力がある

後年の宇宙大作戦での転送装置での転送シーンよりもクォリティーがある

むしろマトリックスにつながるサイバーSF映画の始祖だというのは言い過ぎだろうか?

前作の美女と液体人間よりは脚本がマシだが、まあ穴だらけ
それでも最後まで面白くみる事ができるのは、主演の当時トップスターの鶴田浩二の力が大きい

もともと本多猪四郎が撮るはずであったが、他の作品の遅延で手が回らず弟子の福田純に監督が回って来たとのこと
トップスターの鶴田浩二が駆け出しの福田純監督のそれも低予算の特撮映画に出演したのは、人間関係に依るものとのこと

公開は1960年だから60年安保で騒然とした世相の中だったわけで、軍国キャバレーを悪役の経営の店に設定して、秘密兵器の電送装置と組み合わせて、戦前の悪夢が蘇ることへの世論の反発という当時の時代性を脚本に反映させているところはなかなかで、脚本も全く駄目という訳ではない

超科学の説明としては戦時中の秘密兵器開発が由来という設定は、当時はナチの秘密兵器とかは洋画でも有りがちのモチーフ
1955年に原作が連載開始された鉄人28号も同じ

金粉ショーは007のゴールドフィンガーが有名だが、それより4年早い

あき240