電送人間
劇場公開日:1960年4月10日
解説
「暗黒街の対決」の関沢新一の脚本を「恐るべき火遊び」の福田純が監督した怪奇スリラー。撮影は「暗黒街の対決」の山田一夫。特技監督・円谷英二。パースペクタ立体音響。
1960年製作/85分/日本
原題または英題:Singing in the Sun
配給:東宝
劇場公開日:1960年4月10日
ストーリー
第一の殺人事件は遊園地で起った。被害者はブローカーの塚本、犯人の姿は確認出来なかった。東都新聞の科学担当記者桐岡は、犯人の遺留品の中に小さな針金状の物体を発見し、事件に興味を抱いた。工業大学の三浦博士の話では、その物体はクライオトロンで、将来トランジスターにとって代るべき真空管の一種、精妙だが、ただ絶対温度四二度という低温を保たねばならないという欠点があった。桐岡の目前で行われた第二の殺人は桐岡の興味を深めた。被害者は軍国キャバレーの経営主の隆、旧陸軍の軍票にかかれた殺人予告状を握っていた。桐岡は同僚の小林警部と共に犯人を芝浦の倉庫に追いつめたが、火の手をあげて失せてしまった。焼跡からは不思議な円筒を廻転する冷却機械が発見された。桐岡は、軍隊時代に二人の被害者と同じ隊にいたという大西と滝を訪ねて、意外な事実を知った。終戦の時、軍の科学者仁木博士とその研究書類の隠とくを命ぜられた大西、滝、隆、塚本の四人は、書類と偽って金塊を隠したが、それに気づいた博士と護衛の須藤を生き埋めにした。しかし一年後、二人の死体は金塊もろとも消え失せていた。博士と須藤は生きている、殺人は須藤の復讐であると残った二人は信じこんだ。桐岡は仁木博士の研究が完成寸前であることを知ると、冷却機械の大量注文主を探した。遂にニッポー精機が軽井沢の中本伍郎という男に大量納入したことをつきとめた桐野は、たまたまその修理のため軽井沢に向う社員に同行して、軽井沢の小谷牧場に向った。その頃、第三の殺人予告状を受けた甲府の滝の身辺には警戒網が張りめぐらされた。殺人指定時間は十一時半から十二時まで間だった。桐野と明子を迎えた中本は、夜十一時になると二人を寝室に案内し、自分も部屋に入った。中本は十二時に再び姿は現わしたが甲府で予定通り行われた第三の殺人に関して中本のアリバイは完全だった。小谷牧場を包囲してみると、中本の姿はなく、仁木博士は機械室で物体電送機を九分通り完成させ、半身不随で倒れていた。中本はやはり須藤だった。第四の殺人予告を受けた大西は、故郷の島へ隠れた。一同がその島へ出発した直後、須藤は仁木博士の前に姿を現わし、博士を絞殺した。