「超久方ぶりに観て恐るべき先進性に驚嘆しました 単なるリリシズムの映画ではなかったのです」転校生 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
超久方ぶりに観て恐るべき先進性に驚嘆しました 単なるリリシズムの映画ではなかったのです
1982年公開
1981年「ねらわれた学園」の次の作品
本作の次が1983年の「時をかける少女」という順番です
大林宣彦監督が本格的にブレイクしたヒット作といえます
本作の「転校生」、「時をかける少女」、1985年の「さびしんぼう」と併せて、これら三作が「尾道三部作」と言われて有名です
因みに「新・尾道三部作」もあります
こちらは以下の作品です
1991年「ふたり」
1995年「あした」
1999年「あの、夏の日 - とんでろ じいちゃん」
大林宣彦監督のファンならもちろん全部観ているはずですね
ところがどっこい、本作と「あした」は視聴困難で、中古DVDが高値で売られています
何が問題なのかサッパリ分かりません
今日の目で観るとコンプライアンス的にマズいことがあるのでしょうか?
それでかどうか分かりませんが、本作は、大林宣彦監督のセルフリメイクで2007年に「転校生 -さよなら あなた-」が公開されています
但し舞台は尾道から長野市に変更されています
大林宣彦監督ならではのリリシズムが全編に溢れています
この作風が今では当然のように思い浮かべられるのですが、それまではどちらかというとキッチュでコミカルな映像作家というイメージでしたから、ずいぶんと作風が変わったと思ったものでした
本作を観ると自分自身の青春の思い出までが一気にフラッシュバックしてしまいます
白黒映像がリアルの記録
カラー映像が思い出の中
思い出こそ写真より何十倍も情報量が多いのです
尾道の光景は本作から話題になっていったのです
本作は作品のヒットと共に、尾道をまるでスターのように有名にした最初の作品なのです
そして超久方ぶりに観て恐るべき先進性に驚嘆しました
単なるリリシズムの映画ではなかったのです
それはLGBTについての問題提起です
本作はそれを40年も前に真っ正面から扱っていたのです
男の人格なのに、肉体は女
女の人格なのに、肉体は男
しかもそれがトランスしているのです
主人公達はそのことを周囲に気付かれないように苦労して生活することで強烈なストレスを毎日味わって生きていかねばならない人間なのです
本作とは、そういう映画であったのです
今こそ本作を観るべきです
LGBTを考える良い手始めだと思いました
大林監督は良い意味でのロリータコンプレックスだったと思います。小林聡美さんの小さな胸に私もドギマギしたのを思い出します。今ではなんにも感じなくなりましてが。
共感いたします。また、共感ありがとうございます。
名作ですね!
原作の「おれがあいつであいつがおれで」も大好きな作品です。
初めて「君の名は。」を見た時にも、ついこの作品と比べてしまいました。
最後のスキップするシーンも心に残ります。