天河伝説殺人事件のレビュー・感想・評価
全2件を表示
名探偵・浅見光彦、妖気の地を駆ける!
角川映画15周年記念作品第2弾。
DVDで鑑賞。
原作は既読です。
予告編やポスターのキャッチコピーにも書いてあった通り、金田一耕助シリーズの再来を目指したのでしょうが、非常にテンポが悪く、非常に退屈な物語になってしまっていました。油断すると寝てしまいそうになりました。
露骨に金田一耕助シリーズを意識し過ぎたせいもあるんじゃないでしょうか? 加藤武の役柄なんか、そのまんまですもんねぇ…。「第2弾製作決定!」のアナウンスが流れたものの、角川春樹の逮捕や配給収入の不良が重なって、立ち消えになってしまうと云う不運にも見舞われました。
しかし、天川村に漂う妖気と云うか、空気感や雰囲気を収めることには成功しているなと感じました。吉野地方のどことなく神秘的な部分と、日本の伝統芸能である能の持つ独特な存在感が、まさに"ディスカバリー・ジャパン"にぴったりの題材だな、と…。市川崑監督の卓越した映像センスが充分に楽しめたので、そこは大変観応えがありました。
東京と云う大都会と世間から隔絶されている秘境とを結ぶ、悲しき連続殺人を解き明かす浅見光彦の推理はとてもドラマティックで、金田一にも負けていないなと思いました。
しかし、榎木孝明のメイクが白過ぎて、めちゃくちゃ不気味なのがいただけませんでした。市川監督が得意とする、光と影の演出の一環だと云うことはなんとなく分かるのですが、あまりにも白いので、まるで死人みたいでした。
「悪魔の手毬唄」でも強烈な印象を残した岸恵子が本作にも出演していました。コケティッシュな魅力は相変わらずで、穏やかさの中から溢れ出す情念を表現するのが本当に上手い女優さんだなと、改めて思いました。
※鑑賞記録
2019/? ?/? ?:DVD
2021/09/21:Amazonプライム・ビデオ
※修正(2021/09/12)
全2件を表示