「殆ど封印作品かな? 今は正規発売もなく観れなさそう....」電影少女 アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)
殆ど封印作品かな? 今は正規発売もなく観れなさそう....
原作で言うところの“あい編”を描いており、制作当時は原作者も相当な入れ込みだった様子で、作品監修と脚本にも関わったのみならず、カメオ出演までしているものの、現在は容易に観られる状態には無さそうな一本。
原作漫画の内容からしたら、結末は切ない別れを迎えるものの、この作品が最も忠実な展開と言える。
主演にも、当時は知名度が高かった坂上香織を据えており、脇役陣も知られた顔ぶれも複数人。
原作者も、本作制作の1991年当時は自作の実写化も叶った事で、この作品に満足していたのではないかと思われる。
しかし、その後‘92年になって、当時流行っていたセル作品のOVAのシリーズ化という形で、これも“あい編“を全6巻でアニメ・シリーズ化される事になった。
展開は、映画に比べるとトータルな収録時間で余裕があるのと、やはり漫画原作のアニメ化なのでイメージも保たれており、比較的に忠実に話も進んでいく、終盤近くまでは。
ところがこの作品は、その結末が原作と全く異なり、主人公弄内洋太のほろ苦い成長のストーリー的には終わらないのである。
最後は、SF映画バリのスケール感で、弄内洋太が陰謀の主の“ラスボスとの対決”的となっており、その手からアイちゃんを救い出す事で、二人は目出たくハッピーエンドに結ばれるのであった。
この作品に於いては、原作者の桂正和はエンディング曲の作詞を手掛けたのみならず、複数ある劇中歌の中の2曲でで歌唱も披露している程、劇場版にも増して更なる熱の入れ様だった。
折角、時間とお金掛けてOVAで発売するという企画が実現したのだから、アニメ(それもセル)であることを最大限に活かしたスケール感の展開で魅せたい、という考えとしては分かるような気がした。
この展開と結末も好きである。
しかし、”原作派”の人にはコレって、「えぇー」な展開だったのでは無いだろうか?
そして今度は2018年に、テレ東ドラマ版にて現代版として実写作品化されている。
コレがまた混乱する。
最近流行りの、“リメイク的手法の続編”的作品になっているからだ。
では、どれの続編なのかというと…..
このTVドラマ版の主人公は、前作から25年後の弄内洋太の甥にあたる人物に設定されており、彼もまたビデオガールの”天野あい”と出会って関わる事になるのだが、弄内洋太は“おじさん”として登場してその彼と一緒に居るのもまた、あの“天野あい”なのである!
実体化を遂げた、「その後」という事となる設定。
前作の後で実体化を遂げて、二人が共に暮らしているとなると、その展開だったのは”OVAの方”という事になる?
どうやら、このドラマ版の製作者がOVA作品を気に入って評価していた事で、そうした繋がりを持つ事になったようであるが、そうするとこの‘91年の劇場版がビミョーな立ち位置になって来ることが否めない。
更にこのTVシリーズの後、別主人公達の姉妹(スピンオフ)作品も作られている。
そして弄内洋太はこの作品にも引き続き出演し、“事件”の解決に関わる事になる。
取り敢えず賛否は置いておいて、興味がある方は「全部観て」、その違いなどをその目で確認しつつ、それなりに楽しんだら良いのではないかと思う次第です。