劇場公開日 1997年9月6日

「【“せんだい”ヒラの浜ちゃんの同期の真面目な営業部長の沁みる恋物語を描いた作品。と共に浜ちゃんって実は凄腕の営業マンじゃないのかなと浜ちゃんしか出来ない営業スタイルを観る中で思った作品でもある。】」釣りバカ日誌9 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【“せんだい”ヒラの浜ちゃんの同期の真面目な営業部長の沁みる恋物語を描いた作品。と共に浜ちゃんって実は凄腕の営業マンじゃないのかなと浜ちゃんしか出来ない営業スタイルを観る中で思った作品でもある。】

2025年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

■浜ちゃん(西田敏行)の同期・馬場恒太郎(小林稔侍)が新任の営業部長としてやって来る。
 彼は真面目で仕事一筋だが、早くに妻と離婚し、それ故か一人息子は引き籠りになっている。ある時、鈴木建設は大口の取引先を失う危機に直面し、馬場はそれに対処するよう命じられる。が相手の偉いさん(中村梅之助)が、浜ちゃんの釣り友達であったため、窮地を脱する。
 そのお礼に馬場は浜ちゃんを一軒の余り流行っていない小さなバーに連れて行く。そこでは、馬場が5年も思いを寄せる茜(風吹ジュン)が、独りで頑張っていた。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・今作では、ヒラの浜ちゃんの生き方と、同期の営業部長に抜擢された馬場との生き方が対比的に描かれている。
 馬場は仕事一筋のために早くに離婚し、息子マコトは引き籠りになっている。故に馬場には影がある。一方、浜ちゃんはヒラだが、毎日奥さんと仲が良いし、鯉太郎もスクスク育っている。どちらが、幸せなのかな、と思ってしまうのである。

・ちょっと、驚いたシーン。
 引きこもりの息子マコトが父親を無視して、部屋で爆音で聴いていた曲。それは、エレファントカシマシの隠れた名盤「東京の空」の劈頭を飾る、宮本さんの爆音ボーカルが響き渡る”この世は最高!”なのである。この曲を山田監督が意図的に使ったとしたら凄いなと思ったのである。それは、歌詞を読めば分かるのである。

■浜ちゃんの営業スタイルも、今作の見所だろう。営業先に行くと、相手が嬉しそうに”浜ちゃん!”と寄って来て、お菓子などを親し気に進めるのである。その姿を見た馬場が驚きの表情で、彼に言った言葉。”あんな、営業方法もあるんだなあ・・。”
 で、思ったのである。浜ちゃんって、凄腕の営業マンじゃないのってね。けれども、彼にとっては出世より釣り。出世より家族の方が大切なんだよねえ。ちょっと考えさせられたよ。

・浜ちゃんの後押しもあり”せんだい”違いで地元”川内”に帰っていた茜に、営業に行っていた馬場がバッタリ会うシーン。上手いよなあ設定が。そりゃあ、普通は仙台だと思うよね。
 けれども、茜は馬場の必死のプロポーズを断るんだよねえ、彼の将来を考えて。
 でも、諦めきれない馬場は、息子と食卓を囲む中、”一緒に、九州に行かないか。”と言うと、マサカノ”良いよ”と言う答え。引きこもりの息子にとっても、新天地での再出発になるんだよね。

<そして、馬場と茜の結婚式が行われる中、浜ちゃんとスーさんはマコトと式場を抜け出して、海づりをしているんだよね。それまで、笑顔が無かったマコトも笑顔で竿を振っているし、良いシーンだったな。
 今作は、中国の諺”幸せになりたいなら、釣りを覚えなさい”をちょっと思い出した作品でもあるんだな。>

NOBU
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