父と子(1983)

劇場公開日:

解説

父と子の絆を求めて旅に出る二人の姿を描く。朝日新聞に連載された水上勉の同名の小説を映画化したもので、脚本は「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」の菊島隆三、監督はこの作品がデビュー作となる保坂延彦、撮影は「英霊たちの応援歌 最後の早慶戦」の村井博がそれぞれ担当。

1983年製作/113分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1983年1月15日

ストーリー

高校生の高志は、父、竹一に秘密があることを知る。小料理屋を営む実母の豊子は、久しぶりにたずねてきた息子に「父さんの生れた阿慈っていう町のことを知ってるかい」と話した。数日後、些細なことから高志が担任教師をナイフで傷つけてしまった。突然の出来事に驚く竹一は、高志に理由を問うが、判然としない。ルートバンの移動書店を生業とする竹一は商売を理由に一度も高志の学校に足を向けず、父と子の溝は深かった。家に帰れば後妻の由枝がわめきたてることから、竹一は高志と一緒にバンで旅に出ることにした。車はいつしか、竹一の姉、百合のいる盛岡に向っていた。二人っきりでゆっくりと話し合おうと竹一は思ったものの、宿でも高志は心を閉したままだ。途中、二人は若い娘トメ子に出会った。仙台まで同乗することになったトメ子の前で高志は明るい表情を浮かべ、うって変った息子の表情に、竹一は戸惑いさえ覚えてしまう。仙台でトメ子を見送った高志は、一見陽気そうな彼女のなかに、一沫の淋しげな様子を感じ取り、自分と同じように、心のどこかに痛いところがあるんだなと思う。二人は盛岡に着いた。小さなスナックを開く百合の、あっけらかんと自分の過去を話す姿に、高志は親しみを覚えた。竹一は高志を市内見物に出した後、百合に全てを打ち明けて相談した。竹一ははじめて息子のことを真剣に考えていた。百合にも励まされて、高志に全てを話そうと決心する。翌朝、百合も同乗した竹一の車は、青森と岩手の県境にある故郷の阿慈に向った。やがて車は火葬場で止った。竹一は「ここが父さんの生れた家だ」と高志に静かに告げた。家業を継いだ弟の桐二が今しも赤ん坊を火葬にふそうとしていた。棺にふして泣き叫ぶ若い母親を押しとどめる桐二。その異様な光景を高志は硬直したように凝視していた……。

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