劇場公開日 1957年12月28日

「小松崎茂のイメージそのものが、ワイドスクリーンに登場し活躍するのですからもうたまりません」地球防衛軍 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0小松崎茂のイメージそのものが、ワイドスクリーンに登場し活躍するのですからもうたまりません

2019年12月6日
Androidアプリから投稿

小松崎茂、本作はこの名前につきます
日本が世界に誇るイラストレーター
シドミードによる2001年宇宙の旅が公開されるまで、世界最先端のSF世界のイメージを作りだし続けた偉人です
その影響力は日本はおろか世界中に影響を与え、21世紀の現代においてはレトロフューチャーの古典として再評価もなされている人です

クレジットにはこの名前はどこにもでてきません
しかし登場メカを一目みれば、この人の作品であるとオタクなら直ぐに解ります
小松崎茂謹製との大きな判子が押されているも同然です

その小松崎茂のイメージそのものが、ワイドスクリーンに登場し活躍するのですからもうたまりません

本作の価値は殆どそこにあると言えます

ゴジラ、ゴジラの逆襲、空の大怪獣ラドン
この路線は早くも行き詰まりマンネリ化が避けられないのは明らかです
それに対する回答が本作であった訳です
予算のかけ方も、俳優の配役も、製作側の意欲も並々ならぬものを感じます
米ソの宇宙競争真っ只中を先取りしたテーマ設定も正しい方向です
その方向で当時世界最先端ともくされていた小松崎茂の起用も大正解です
必ずや世界に輸出できるものが撮れるはずでした

ところが、脚本の出来の悪さは目を覆うばかりなのです
あまりにもレベルが低くすぎます

小松崎茂の素晴らしいイメージにストーリーが丸ごと引っ張られてしまい、大人の鑑賞に耐えうる特撮映画を作るのだという本当の製作目的が忘れて去られてしまっているのです

小松崎茂のイメージは本当に素晴らしく、そのまま作られたミニチュアも素晴らしい出来映えです
しかし製作側がそれに我を忘れてしまっているのです

しかも小松崎茂の監修下にないセット美術はチープでアート性の欠片もないものになってしまっているのです
なんともアンバランスなのです

結局出来上がった本作は、単なる小松崎茂の世界のイメージ作品になってしまいました
これを一層押し立てていくしか本作の発展性はなくなってしまったのです

それでも、根っからのSFファン、小松崎茂のイラストを飽きずに隅から隅まで舐めるように見ていたような人間ならば、アルファ号やベータ号が黒煙を吐きながら、空飛ぶ円盤と交戦したり、マーカライトファープのパラボラから光線を出すだけで、本作の内容にもう満足してしまうのです

こまけーこたあ、いいんだよ!野暮はいうな!と
本作の意義はそこにあります
最初期のオタクに多大なる影響を与えたところにあるのです

モゲラについて蛇足
メカニコングやメカゴジラの出発点になったのは当然ですが、巨大ロボットというコンセプトの提示は、実は鉄人28号の方が2年は早いです
しかし、軍事兵器として量産される巨大ロボットいう考え方は早すぎるほどの概念です
モビルスーツに至る道の源流はここにあるのです

あき240
トミーさんのコメント
2023年8月4日

モゲラのピーピーという音、メガヌロンのpipipipi、なんか違和感あります。

トミー