探偵物語(1983)のレビュー・感想・評価
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アイドル映画に終わらせるつもりが1ミリもない気概
いま観るといろんな意味でスゴい、という文脈上においてはかなり上位なこの映画。人気アイドルの主演作として作られたとは思えない描写の数々に爽快感を覚える。にっかつロマンポルノ出身の根岸吉太郎監督に演出させて相手役には松田優作。アイドル映画に終わらせるつもりは1ミリもない気概がいい。世が世ならコンプライアンスで一発アウトなシーンの数々も、当時の社会様相や道徳感がフィルムに刻み込まれていると思うと感慨深い。相米慎二監督「セーラー服と機関銃」も合わせて観たい1本。
高レベルのアイドル映画
今から40年も前のアイドル映画(歌手では無く人気の若手俳優)ですが、お花畑の雰囲気も無いし、物語の間延びもしない、奇跡の様な作品になっている。
原作は赤川次郎、主演に薬師丸ひろ子、そして松田優作と続く。薬師丸の演じるのは富豪の娘、少し孤独で、ちょっと火遊びに興味を持っている。映画の冒頭から、彼女の置かれた環境と心情が映し出される。松田優作演じる私立探偵は、才能豊かでも腕力も強くは無いが、芯の通った人間を感じさせる。この2人が何らかの事件に巻き込まれ、次第に相手の事を思いやれるまでに成長する。
果たして現在人気の若手俳優の何人が
40年後も俳優を生業としているのか?
薬師丸は映画3作目、演技派では無いが、普通の女優なら数作前後、または結婚を機に居なくなる。今日まで使われ続けた彼女の魅力の幾つかがこの映画で見ることが出来る。それは身の丈にあった台詞をこなす力、視線、顔の作り方などである。その辺りは吉永小百合と重なるのではないかと思った。そういう意味も含め、トップ女優とは行かないまでも、今も存在し続けられる薬師丸ひろ子の魅力の詰まった映画なのだと思う。
追記、歌は上手い。
※
内容的には大したミステリーでもなく、単純に薬師丸ひろ子を見せること...
内容的には大したミステリーでもなく、単純に薬師丸ひろ子を見せることを目的とした作品という感じ。
そう割り切って見ればそこそこ楽しめる。
松田優作はロングのモジャ髪のイメージがあるが、あんな爽やかな雰囲気のこともあったんだな。
【”一人で寂しかった・・。”お金持ちの我儘女子大生と思ったら、正義感溢れる女性を薬師丸ひろ子さんが体当たりで演じた作品。女優、歌手として半世紀近く日本のトップをキープして来た凄い人だと思います。】
ー 物語は、巷間に流布していると思われるので、割愛。-
◆感想
・私にとっての薬師丸さんのイメージは、”優しくも強きお母さん”を見事に演じる女優さんである。
・が、当たり前だが40年前の今作を鑑賞すると、そこには若くて美しきお嬢さんを演じる薬師丸さんが屹立して存在している。
彼女は、俊敏に街中を走り、窓から出入りし、ラブホテルのダクトに楽々と入り、重要な犯人の手掛かりを見つけたりする。
・私は、角川氏は余り好きではないが、彼の方の大きな功績の一つとして、薬師丸さんの資質を見抜き、世に出した事だと思う。
<エンドロールで流れた「探偵物語」の美しき歌声は、今でも健在である事はご承知の通りである。薬師丸さんは、歌手としても、女優としても半世紀近く日本のトップをキープして来たのである。
真に凄い人だと思います。>
薬師丸ひろ子が大根過ぎ
この頃の角川映画はアイドルを女優に無理矢理仕立てあげるものが多くてお金の無駄遣いだなと思う。80年代の日本の映画もドラマもがちゃがちゃ騒がしいのが多いなあ。薬師丸の相手役の松田優作はこの映画どう思ってたんだろう?
薬師丸ひろ子が国民的アイドルの頂点を極めた作品
WOWOWの放送にて。
この映画は、薬師丸ひろ子主演4本目(角川映画ブランドでは3本目)にあたるが、前作『セーラー服と機関銃』で社会現象とも言える爆発的アイドル人気を示した彼女が、受験のため1年強休業した後の復帰作ということもあって、前作を上回る記録的興行成績を上げた。原田知世の映画デビュー作『時をかける少女』が併映だった。
プロデューサーの角川春樹は、赤川次郎に薬師丸ひろ子主演で映画化する前提で原作小説を書き下ろしさせた。彼女の休業中、『セーラー…』の再編集版(完璧版)を劇場公開するなどしてファンのフラストレーションに対応していて、ついに、大学の合否に関係なく入試終了後にクランクインすると発表するに至った。
また、監督の根岸吉太郎は『遠雷』で高く評価されメジャーデビューが期待されていて、アイドル映画を撮るということが別の視点で注目されてもいた。
個人的には、主題歌を大瀧詠一が手掛けたことにも期待があった。
松田優作の「探偵物語」といえば、'79〜'80に放映された人気テレビドラマだ。なぜ同じタイトルにしたのか、赤川次郎が執筆している段階では松田優作の出演は決まってはいなかったのだろうか。
女子大生直美(薬師丸ひろ子)のボディーガードを依頼された興信所の探偵辻村(松田優作)が、ヤクザの親分の息子が殺された事件に巻き込まれ、直美が辻村と真犯人探しに乗り出すというストーリで、薬師丸ひろ子は探偵役ではない。
直美は豪邸に家政婦と二人で暮らしていて、アメリカにいるらしい父親が何者かは語られず、興信所への依頼主が誰なのかは分からないままだというのが赤川次郎原作らしいところ。
相米慎二が『セーラー…』で風祭ゆきの濡れ場を挿入したように、根岸吉太郎も秋川リサや中村晃子の濡れ場を入れている。
東宝のアイドル映画だったら入らない場面だと思われ、ヤクザが絡む物語ということもあって配給した東映のカラーを感じる。(東映が要望したわけではないだろうが…)
さすがに薬師丸ひろ子自身の濡れ場はないが、根岸吉太郎はラストシーンに松田優作との濃厚なキスシーンを用意し、彼女が見事に対応したことがファンにはショッキングでもあった。
原田知世は『早春物語』で林隆三とのディープキスを前歯を閉じて拒絶していた。もっとも、薬師丸ひろ子はこの撮影時18歳で、原田知世はその撮影時まだ16歳だった。
本作でも薬師丸ひろ子は感性で演じる天才肌の片鱗を見せている。
事件のことを知った直美が辻村のアパートを訪ねる場面、辻村にドアの外で追い払われた直美が帰れずにいてヤクザ達の車を見つける。手持ち無沙汰で手すりから身を乗り出すその仕草と表情。
キャバレーで、憧れている先輩の彼女にイヤミを言われて辻村の酒を一気に飲むシーン。
これらは、ウマいヘタでは評価できない演技の域を越えたものだ。
根岸吉太郎は、全体的にはサスペンスコメディーとして無難な演出をしていて、職人的な技量を示したが、空港でのラストシーンでは、少女体型の薬師丸ひろ子と身長差のある松田優作が柵越しで抱きしめ合う窮屈なラブシーンを数カットの寄りで見せた後、佇む松田優作と手を降って離れていく行く薬師丸ひろ子を引きの映像でワンフレームに収めた芸術的な演出を見せている。
ドジな探偵さん
久しぶりに観たが、松田優作が見事に何も解決していない
当時の薬師丸ひろ子人気と大瀧詠一作曲の主題歌ありきの映画
角川映画自体が文庫本を売るためのブロモーションなので、主題歌にのせた編集カットで充分かと(ラストはいいよね)
今は亡き岸田今日子、荒井注、もちろん松田優作を堪能しよう!!
時代の産物、角川映画。今見ると「なんじゃこりゃ」の作品。 主演、薬...
時代の産物、角川映画。今見ると「なんじゃこりゃ」の作品。
主演、薬師丸ひろ子。当時の超アイドル。私には「ちびくろサンボ」にしか見えません(差別的意図は全くありません)
原作、赤川次郎。こちらも当時は絶大な人気。私には分からなかった。なんせ、軽い、話が軽いんだ。ホームズ好きだった私には耐えられませんでした。本作も同様。
松田優作、なんで出たんだ?ドラマの方の「探偵物語」は好きだった。
ということで、時代を懐かしむ人、薬師丸ひろ子、松田優作ファン以外は見なくていいかな、の作品かと。
バブル感
作品は平凡でしたが、フィルムから80年代のウキウキ感や贅沢な感じが伝わりました。バブル直前だからですね。私は本作公開時に小学校3年生だったので、この時代のことは良く覚えてます。80年代は、角川映画と赤川次郎は流行ってました。まさに時代が分かる作品です。
私の青春は本作の影響下にあった。
当時以来の再見。
優作同題ドラマに比して印象薄いが。
何かと垂直方向に登り降りする薬師丸ひろ子に当時の女子大生ファッションを着させ、色気の萌芽を匂わせつつも未だ色気は無いという塩梅が良い。
私の青春の諸々は本作の影響を受けていたことを思い知った。
声が魅力的な薬師丸ひろ子
薬師丸ひろ子扮するアメリカ出発を1週間後に控えた大学生新井直美は、送別会としてクラブの先輩から海に誘われた。朝まで付き合う事にした直美だったが、松田優作扮する探偵の辻山が直美の叔父と称してふたりを引き離した。直美は頭にきたが、辻山は仕事だからと直美につきまとっていた。しかし、ふたりは次第に呼吸を合わせられる様になっていった。そんな折、辻山の元妻幸子の彼氏がホテルで殺された。直美は、幸子が隠れている辻山のアパートへ行き事情を尋ねたら暴力団が踏み込んで来た。果たして直美お嬢様はどうなる? 声が特徴的でまだ少女さの抜けない薬師丸ひろ子と、飄々とした松田優作との掛け合いがユニークだったね。また、薬師丸ひろ子の主題歌は透明感あって印象的だな。
なんで帰んないんだよ
ツッコミを入れた松田優作に激しく同意。冒頭からの違和感溢れる成り行きはこのお嬢様によるもの。薬師丸ひろ子がその無理キャラに説得力を与える。岸田今日子との組み合わせで浮世離れ感が際立つ。コメディとして中盤までは上々。
真犯人の件は着地に難あり。その人間関係を今更無理矢理くっつけた感じ。また、相手役に松田優作を選んでおきながら、見せ場を作らないのは、映画としてつまらないし、終盤の恋愛感情への流れが減じる。それに、そこまで恋愛要素必要かな?野暮な説教も余計。やたらと性をちらつかせたり、成田空港下りエスカレーターのラストをひっつけるのも、薬師丸ひろ子自体の売り方の一環のように思えた。ラスト主題歌は名曲。
純愛の骨頂を描いた映画
バブル到来間近の自由恋愛華やかかりし日本。愛欲に乱れた大人の世界と、未だこちら側にいる少女(?)の世界との対比が鮮やかに描かれた。
2つの世界の橋渡しをするのが「松田優作」というキャスティングが素晴らしい。
少女への眼差しが優しく、そして強さを感じさせるのは、かつてハードボイルドで鳴らした彼独特の持ち味故だろう。それはラスト、自分の2周りも3周りも小柄な少女の体に思いの丈をぶつけ、あれ程までに抱きしめた両腕にも表れている。
言葉にできないあまりの愛おしさ。この瞬間の直後は別離しかないという切なさ。そんなどうしようもうない男の感情を見事に表現したシーンだった。
一方で薬師丸ひろ子の演技力にも目をむいた。
お転婆娘の屈託のなさをありのままに演じているかと思えば、日本を発つ前夜、辻山のアパートで繰り広げた、告白につながる緊張感の絶頂。(無意識のうちに前のめりになって画面に見入ってしまった)
裏切りあり、殺人あり、笑いあり。
サスペンスとも言われ、ラブコメディとも言われる当作品だが、結局何をテーマにした映画だった?と問われれば、間違いなく「純愛」と答えることにしたい。
どんな時代、それに、辻山のような酸いも甘いも味わった人間にさえ、純愛は宿ることに希望を感じた作品だった。
ディープキスの後のエンドロールこそが見ものだと思います
所詮アイドル映画でしょ、というのは簡単です
終盤の結構な長回しは圧巻でした
薬師丸ひろ子は正直絶世の美人でもないし、スタイルが特段に良くもないし、肉感的でエロチックでもないです
小柄だけれども、折れそうなほど細いわけでもない
どこにでもいる健康的なお嬢さん
でもスレていない
芸能界の空気をまとっていない
それを透明感というのでしょうか
シーンによっては小学生高学年の子供のようにも見えます
それは得難い素材なのだと素直に思います
松田優作は家族ゲームでの怪演と同年の出演です
凡庸な演技で観るところのないもののようにも思えます
しかし、それが彼の目指した本作の演技方針だったかも知れません
過剰な演技はまるでなく、主張するのではなく淡々と自然に演じていく、それがどこまで自分にできるのか試しているのだと思います
エンドロールはヒロインとの成田空港での別れです
出発口へエスカレーターを彼女が降りていってから、延々とエスカレーターとロビーを広い画角で写し続けます
その画面右端に松田優作が小さく映ったままです
彼は演技するともなくただ佇んでいるだけです
その前の長いディープキスの余韻に浸っているのです
この演技とも言えないような名演技こそが本作における彼に取っても、観客にとっても最大の収穫であったのかもしれません
大ヒットした主題歌も大滝詠一、松本隆によるもので素晴らしい
発売は1983年4月、映画の公開は7月
ふた昔前の銀座の恋の物語などの歌謡映画の系譜に連なる作品なのかも知れません
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