旅路(1953)
劇場公開日:1953年7月29日
解説
大佛次郎の朝日新聞連載小説『旅路』を「関白マダム」の池田忠雄(但し監督)が脚色、「岸壁」の中村登、生方敏夫、黛敏郎がそれぞれ監督、撮影、音楽にあたった。「坊ちゃん重役」以来一年ぶりに大船に帰った岸恵子、「愚弟賢兄」の月丘夢路、日守新一、笠智衆、「日本の悲劇」の佐田啓二、「姉妹(1953)」の若原雅夫、「青色革命」の千田是也などが出演する。
1953年製作/118分/日本
原題または英題:Journey
配給:松竹
劇場公開日:1953年7月29日
ストーリー
高利貸の岡本素六は一人息子明に戦死されて生甲斐を失い山で投身を試みたが、歴史学者瀬木博士と弟子捨吉に助けられた。そして博士に励まされ、新しい生活に立上る。素六の姪妙子は明の墓参に行って、彼の戦友良助と知り合った。良助は高級車のブローカーで、人生を賭博だと考えている。捨吉は一目見て妙子に愛情を感じたが、学者肌の彼が何も言出せないうちに、良助は巧みに妙子を誘惑して自分のものとした。捨吉は遠くから、秘かに彼女の幸せを祈っていたが、良助は商売仲間の岩室カオル夫人らと方々を飛びまわり、妙子の望む二人の堅実な生活と幸福を築くことには耳を傾けようとしなかった。カオルは落ちぶれた旧貴族岩室の妻であったが夫をかえりみず外国人相手にブローカーをつとめ、仕事先の京都のホテルで良助を誘惑する。捨吉は素六の信頼を得て、時々その鎌倉の大邸宅で勉強していた。良助はカオル夫人の金二十万円を費いこみ、その返済に窮していた。捨吉が留守番をしている伯父素六の家を訪れた妙子は、捨吉の隙を見て三十万の金を盗み、夫人に返済する。それを知った捨吉は自分が散歩中にスラれたと言う。伯父に一切を打ちあけ、捨吉の好意に感謝した妙子は、金策に帰郷した良助のもとへ行き、きっぱり別れを告げて一人帰京の列車に乗った。