TATTOO<刺青>ありのレビュー・感想・評価
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古い時代の見栄っ張り男
とても古い映画だけれど,宇崎竜童とタイトルに惹かれて観てみた。予想と違い、甘やかされたプライドだけは高い男の、悲しいほど何もない人生だった。でかいことやってやろうと銀行強盗。待っていたのは死だった。
最後に,誰よりも彼をいい男だと信じていた母の小さな背中が悲しかった。
宇崎竜童の最後に流れる歌がとても映画にとても合っていた。
ATGっぽくないな…(偏見かも)
1982年公開、高橋伴明監督。
竹田明夫役に宇崎竜童、
母の竹田貞子に渡辺美佐子、
ヒロインと言うべきか三千代に関根恵子。
脇役には、植木等、ポール牧、西川のりお・上方よしお、北野誠、泉谷しげるなど。
余談だが、関根恵子は本作をきっかけに高橋伴明と知り合い、高橋惠子になった。
本作公開の3年前に発生した「三菱銀行人質事件」の主犯で、警察により射殺された梅川昭美をモデルにし、少年時代に起こした「大竹市強盗殺人事件」から描いている。
ピカレスクものということになる。
・老女が警察の手配したヘリコプターに乗り込む。
場面は変わり、
・亡骸になった宇崎竜童が病院のベッドに横たわる。
・司法解剖の前に、からだの血を拭き取られている。
・医師役の荻島真一が「タトゥー」という。
…映画はそんなふうに始まる。
数十年前にテレビで見て、それなりのインパクトがあったとぼんやり記憶していたが、、、
いま見直すと、☆1.5というのが偽らざる感想だ。
先述した人質事件は映画では深く取り上げていない。
事件発生からわずか3年なので、被害者感情を考慮したのかも知れない。
◆竹田明夫を信じ、溺愛してやまない母・貞子
◆母の期待に応えようとするマザコン気質の息子
を軸にした映画かというとそうではない。
◆関根恵子演じる三千代との愛憎
◆その他女性とのからみ
を見ると成人映画要素も入っている。
凶悪犯・梅川昭美をモデルにして、
ただそれを網羅的に映像化したように感じた。
ATG(日本アート・シアター・ギルド)製作というと、
アートに振ってちょっと小難しいとか、
作りての思想をぐいぐい主張するイメージ(笑)があるのだが、残念ながら本作はあまり個性や主張を感じなかった。
梅川事件
狼たちの午後で思い出したよ。
宇崎竜童が梅川として演じた。
大阪の三菱銀行人質事件
なんかでかいことやったるって
冒頭のシーンで検視官が
タトゥーありってセリフが
よく、いぼ痔ありって学校で言った。
高橋判明と関根恵子がこれで結婚したんやな。
高橋監督が、麻薬疑惑で逃げながらノーコメントって言ってましたなあ。
正直なところ、宇崎竜童という俳優は主演ではあまり輝かないのです脇役でこそ光り輝く人であったということです
見応えがありました
大いに満足しました
1982年公開
宇崎竜童は本作前年の1981年「駅 STATION」で日本アカデミー賞助演男優賞を受賞したばかり、本作で満を持しての初主演です
しかし正直なところ、宇崎竜童という俳優は主演ではあまり輝かないのです
脇役でこそ光り輝く人であったということです
関根恵子は美しく、演技力も高く良い仕事ぶりです
「うち、男をあかんようにする女なんかな」
「うち、ほんまもんの男が好きや」
この二つの台詞は心に残ります
高橋伴明監督と彼女は、本作が縁で結婚するのはご存知の通り
特に圧倒的なのは母親役の渡辺美佐子の存在感です
三菱銀行北畠支店人質事件は1979年1月26日に実際に起きた事件
その犯人の梅川昭美が主人公ですが、事件そのものは描かれません
突入寸前のシーンと篭城中のほんのワンカット程度です
主人公の名前は竹田明夫となっています
冒頭は警察に撃たれ警察病院に運び込まれ、医師から竹田にはタトゥーがあるというシーンからはじまります
最後は母親か、遺骨箱の上に、竹田が変装用にとっさに使った帽子を乗せて夜の地方鉄道の駅に降り立つところで終わります
では事件がクライマックスでなければ、何かそうなのかというと、鳴海清の登場です
竹田が鳴海と暮らしている三千代を訪ねて、竹田と鳴海の二人が会話するシーンこそがクライマックスだと思います
劇中でも鳴海と名乗ります
但し下の名前は、劇中の新聞では清でなく、不詳として某となっています
彼は1978年7月11日京都三条のクラブベラミで起きた山口組組長田岡一雄銃撃事件の犯人がモデルです
彼もまた実在の男です
銃撃事件の2ヵ月後六甲山中に壮絶なリンチの末に腐乱死体となって発見されます
山路和弘が演じますが強烈な印象を残します
そして鳴海が交際していた16歳の愛人の美容学校の少女が、鳴海の死後に三菱銀行人質事件の梅川の愛人になっていたという世にも不思議な実話をモチーフにしていることです
但し、関根恵子が演じる三千代は27歳くらいに設定され、竹田と鳴海はオーバーラップして交際していることになっています
16歳の少女は、麻雀屋で知り合う少女に置き換えられているようです
袋ラーメンを食べようとする三千代を「栄養が無い!」と食べるなと殴るシーンは、人質事件の時に犯人が警察の差し入れたカップラーメンを「栄養がない」とサンドイッチを追加で差し入れさせた実話からの由来
また冒頭の医師が、竹田を診て「タトゥーあり」というのは、警察が鳴海の腐乱死体の刺青を赤外線で読み取って本人と特定した実話からの由来だと思います
助監督に若き日の周防正行の名前があるのが目を引きました
主題歌は、宇崎竜童「ハッシャバイ・シーガル」
素晴らしい楽曲で本編にマッチしています
ただし映画の中での音響がよくなく、あまりクリアーに聞こえないのは大変残念
でも当時の映画はみんなこんな音響だったのも確か
40年昔の大阪
少しも変わっていないところと、様変わりしているところもあります
そこも見所です
音響もまたしかりなのでしょう
梅川事件
昔から梅川事件には興味があり、この映画も観たかったがレンタルはなく、VODに入ったため鑑賞。実際の事件は凄惨で身の毛もよだつ程だが、この映画ではグロシーンは無し。
しかし、このようなモンスターがいかに出来たのかは良く表現されていた(フィクションは多いのだろうが)。
高橋伴明監督であったのは知っていたが、エンドロールでプロデューサーが井筒一幸、監督助手に周防正幸、そして出演者に大杉漣さんの名前があったのはびっくりした。
こういう人が格好いいと思えた幸福な時代。
宇崎が演じた実在の男は甘ったれのDVの殺人狂だっただけ。
だが、1982、成長著しい社会に置いて行かれた個人が社会に一矢報いることは格好よいと見えたのか。
停滞する社会を抜き去り、寧ろ何をしでかすか分からない個人程怖いものは無い、という今。
よかった
大昔、月曜ロードショーで見て以来、初めてスクリーンで見た。フェリーで狙撃される実際の映像が再現されていると思っていたのだが、それは衝撃映像SPなどで見た映像をいつの間にか映画の中でもやっていたのだと勝手に混同していたようで、結末が呆気なくてちょっと肩透かしだった。
宇崎竜童が漫画家のタイム涼介さんに似ていた。高橋恵子がとてもきれいだった。
人殺しでいろいろ最低なんだけど、おごったり、お釣りをもらわなかったり、読書家だったりと憎めないところがたくさんあった。あんなふうに派手に金遣いを荒く生活するのは楽しそうだ。オレは小心者なので金があったとしても真似できない。また銀行強盗を計画したり準備したりするのも楽しそうだった。
梅川事件を知っている人は面白い。
梅川昭美の事件に興味を持ちこの映画を観ました。どれだけ梅川昭美の生い立ちのリアルか分からないがそこそこ面白かったかな。この前までは清純のイメージだった高橋恵子が意外や大胆演技だったのがビックリ。しかも当時結構際どい映画出演が多いのもビックリでした。きっと当時は体を張らなきゃ女優として見て貰えなかったんだなと思った。今の若手女優なんて何て幸せなんだろと思う(笑)
映画の内容は梅川の生い立ちがリアルに描かれてれば中々価値のある映画だと思う。映画では銀行強盗シーンはほとんど無いけど梅川事件を調べてから観ると無い方がこの映画の本当に言いたい事が分かる気がします。
おまいらが暴走する話だなw
と今なら済ませてしまうだろう。
公開当時は、
親が甘やかすから息子がこんなふうになってしまった。
と考えたようだ。
母なる証明の80年代版といったところかもしれない。
母というのはいくつになっても息子が大事で、息子はいつも母を思っている。母親にいい夢をみせてあげたいとか、いろんなことを考える。母はいつも息子が苦労するような人生は嫌で、大事に可愛がりたいと思っている。
息子はそこで期待に応えなきゃいけなかったんだね。
この映画を初めて見たのは2006年ですが、今思い出しただけでも泣けてくる。
不条理というのはこういったものだと思います。
大好きな映画のひとつです。
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