雨にぬれた舗道のレビュー・感想・評価
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良かった、けど許せない
なんなんだ、あのラスト。
もっと可能性はあっただろうに、
と思うのだが、1969年だものな…すごいな。
とにかく主人公が魅力的で、
というか気になってしまって。
食事の用意しながらチラチラベンチ見てる感じが
もう既にやばい。
ベットに向かって告白からの、
ぬいぐるみで発狂。
とんでもなくいいシーンだった。
そんで、娼婦探しにいくあの感じ。
何よあれ、何であんな必死なのよ。
シルビアも気の毒よ。
ラストだけが気に食わない。
映画を終わらせたかったんかね。
カナダ、ブリティッシュコロンビア州南西部の都市バンクーバー。 公園...
カナダ、ブリティッシュコロンビア州南西部の都市バンクーバー。
公園のそばに立つ高級マンションに一人で暮らす三十路女性のフランセス(サンディ・デニス)。
ある雨の日、その日は親類や友人を招いての食事会。
皆、金持ちだが、老齢な人たちだ。
フランセスが通り過ぎた時、冷たい雨濡れながらベンチに座っていた青年(マイケル・バーンズ)は、フランセスの食事会が終わったあとも、ベンチの上で震えたままだった。
マンションの窓から青年をみていたフランセスは、友人たちの忠告も聞かず、彼らが帰ったあと、青年を自室に連れて帰ってくる。
それは、捨てられた犬を拾ってくるのに似ていた・・・
といったところからはじまる物語で、長らくテレビ放映もなくビデオ化もされておらず、鑑賞機会がすこぶる少ない作品でした。
ですので、古書店でみつけたリチャード・ミルズによる原作小説を先に読んでいました。
青年は一言も口を開かず、かといって、フランセスの言葉がわかっていないわけではない。
そこいらあたり、原作小説では早々に底が割れるように書かれているのですが、本作ではミステリアスに撮られています。
また、ミステリアスなのは、ラズロ・コヴァックスによる撮影もそうで、フォーカスアウトを多用して、フランセスの心の底がわからないように演出されています。
ここいらあたりの演出は、後のアルトマン作品とは大いに異なる感じです。
さて、フランセスに軟禁されていることに飽きた青年はフランセスの部屋を抜け出し、実家へ戻ります。
そこは子だくさんの一家のようで、年若い妹や弟たちがたくさんいますが、カメラは三階建ての家を外から写すのみで、窓越しに中の様子がうかがえる程度。
青年は口がきけないのではなく、無言で通すのがお得意というのがここでわかります。
なかなか凝った演出。
しばらくの後、青年はフランセスのもとへ戻るのですが、逃げられたと思っていたフランセスは戻って来た青年にある種の愛情を抱き、それが最終的には歪んだ結末を迎えます。
この終盤が怖い。
60年代終盤の時期というのが曲者な時期で、徐々に女性の性意識も解放され、避妊についても隠匿されるものではなくなってきた時代。
フランセスが訪れた産婦人科では、女性たちが避妊について、あけすけに語っている様子が興味深いです。
これまで交際といえば、社交クラブでの年配男女しかいなかったフランセス。
青年に対して、身も心も許していいと決意したものの、相手はこちらの気持ちなど露知らず。
可愛さ余って憎さ百倍、憎さ余って恋しさ千倍。
自分のことを歯牙にもかけない青年は、もしや性的不能者ではなかろうかしらん、と考えたフランセスは、勇気を振り絞って、街で商売女を手配するのだけれど、美貌もスタイルも気品もフレッシュささえも劣るその商売女と青年は楽しげに同衾するに至って、憎さは万倍。
フランセスの女性としての自我は崩壊に至り・・・
いやぁコワイ、こわい。
怖いですねぇ。
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