劇場公開日 1993年6月5日

「映画でしか表現できないからこそ映画が作られた感覚」ソナチネ 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画でしか表現できないからこそ映画が作られた感覚

2021年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

数十年ぶりに、今度はDVDを購入して観た。
いまみても、色褪せてなくて、見入った。
感じるのは虚無感。死に向かっていく。
突然ガツンと現れる銃撃戦。
ストーリではなく映像で表現されている。
セリフも少なく、表情。それも静止画のような表情。
死という題材が美しい絵で織りなされている感覚。
闇に閉ざされたビルの中で、マシンガンをぶっぱなししているときに窓から漏れる銃撃光。
それに照らされる黒い車の屋根。
行われていることは殺人なのに、映像が美しいという。
なんとも言葉で表現しにくいからこそ、映像で表現されている。
映画でしか表せないものが表現されているからこそ、映画が作られたという。
まさに映画で表現するのは何かという、本質をついている映画だと思う。

菜野 灯