「虚しく儚く美しい」ソナチネ kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
虚しく儚く美しい
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2-3回観た映画ですが、映画館では初鑑賞。しかも10年以上ぶりに観たので、新鮮な気分で観れました。
とはいえ、伝わってくるメッセージは変わらず。「マジ人生無意味、虚しい。もう死ぬしかない」。
死ぬことしか考えていない人が撮った映画なので(バイク事故ってこの直後くらいですよね?)、北野武と同じく虚無に苦しんでいる人が観たら気持ちが死に傾き易くなるヤバ映画でもあります。
前観た時は思い切り食らってしまいなかなか消化できなかったのですが、改めて今観直すと、印象に残るのは飛び抜けた美しさでした。
銃殺された子分を埋めるオレンジと黒だけの夕焼けのロングショットや、夜の花火の打ち合いのブルーがかった薄明かりなど、絵画のような美しさで、どれもすぐに消え去ってしまう儚い美しさだなぁと感じます。
長々と描かれる大人の夏休みも、美しく儚い。
無意味・虚無には、永遠が失われる悲しみがある程度関係していると思います。無常の悲しみがあるからこそ一瞬の美しさを切り取りたい、という心性が働くのかもしれない。本作は沖縄が舞台だけど、雄大な自然みたいな生命力に溢れた永遠性を象徴する美しさ描写はないですし。
かなり高レベルの鬱映画だと思うのですが、世間的にはさほど鬱映画として認識されていない印象があります(思い込みかもしれないかど)。それは、この飛び抜けた儚い美しさが理由かもしれません。
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