売春(1956)

劇場公開日:

解説

売春の実態や歴史を記録して防止を期す啓もう宣伝映画、成人向指定。資金難などで製作が難航したところに国会の禁止法が成立するなど、不運に見舞われた。

1956年製作/27分/日本
配給:大映
劇場公開日:1956年6月28日

ストーリー

いわゆる赤線区域は三十年四月の日本全国で1 922ヵ所12万9千名、散在する街娼をいれると約50万という。だが彼女たちはどこからきたか、と冬がれの農村、一本づりのみじめな漁村、九州の炭坑などの生活が示される。そして「女性を求む」などのハリ紙で集められた娘たちが汽車にのせられていく姿を苦心してとらえる。ついでネオンのかがやく夜景から朝寝の特飲街へと場面は展開する。 それから一日の生活を追うが、せっせと掃除する彼女たちは売春婦などとはみえない素ぼくさをみせる。朝ごはんどきの「かあさん」は、ソロバンで各人のかせぎ高表をはじきだし、「とうさん」もガンばって食事はまずい。中には店とはべつに立派な自宅をかまえるのもあり、信用金庫などの金融機関も特飲街に支店をもつ。だがヒマはあってもカネのない女たちは夜までの時間をもてあまし、故郷をおもって感傷的な手紙もかく。それが夕方ともなれば、いっさいをオシロイでぬりつぶして夜の女のマスクをつくり、路次小路には客よびの声々がみだれとぶ。一夜に四~七人の客、基地などでは十何人もとり、性病表や脳病院の女たちも示される。 次の売春の歴史は解説が主となるが名高い吉原浄閑寺の遺跡や遊女の過去帳、東雲のストライキで有名な救世軍の自由廃業問題、マッカーサー司令部による公娼廃止も売春は公認して国会でも禁止法は不成立。だがこれは世論を動かして街頭や職場に廃娼運動がひろまり、ついに本人たちも従組結成大会をひらく。「いい仕事とはいわぬが食えないから」と彼女たちはいい、業者側は「売春がなくとも、みんながしあわせにくらせれば」と、どちらもキマリ文句である。それが今度の国会では全会一致で可決され、はやくも都下調布町や九州八幡の集団廃業となる。転業改装した部屋には学生が下宿して、帰郷した娘は厚生寮とかで働く。しかしまだ特飲街には女たちが依然として働く姿をみせて……おわる。

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