千年旅人
劇場公開日:1999年11月1日
解説
死を目前にした男と自殺志願の男、境遇の違うふたりの男たちの姿を通して、人間の生と死について描くドラマ。監督は「天使のわけまえ」の辻仁成。自作の同名小説を基に、辻監督が自ら脚色。撮影を「ショムニ」の渡部眞が担当している。主演は、「愚か者 傷だらけの天使」の豊川悦司と「チンピラ」の大沢たかお、新人のyuma。
1999年製作/114分/日本
配給:オメガ・プロジェクト
劇場公開日:1999年11月1日
ストーリー
結婚まで約束しながら土壇場で親友・良太に奪われてしまった最愛の女性・洋子に会う為、体中病魔に蝕まれ余命幾ばくもない体のツルギは海辺の町に帰ってきた。しかし、彼女の実家である民宿風花を訪ねた彼は、そこで洋子が既に自動車事故で死去していたことを知り愕然となる。現在、民宿を営んでいるのは洋子の母・君江と、洋子と良太の間に生まれたユマという少女。洋子譲りの美声を持つユマは、洋子の車に同乗していて事故に遭った際に片足を失い、義足に頼る生活をしている。そして、良太はユマが幼い時に出ていったきり行方知れずだった。学校へは行かず、毎日、手旗信号で沖を通る船に自分の存在をアピールするメッセージを送って暮らしているユマ。ある日、そんな彼女と一と月ばかり旅館に滞在することになったツルギの前に、自殺志願のトガシという男が現れる。何度も自殺を試みるトガシと死が目前に迫っているツルギは、事ある毎に対立。一方、ユマはトガシのことを心配するうち、彼に心惹かれていくのであった。体の痛みを和らげるモルヒネ注射の残りが少なくなっていくと、ツルギは海岸に捨てれらた難破船を修理し始めた。彼は「この海から死者を船に乗せて流すと、その魂は余所には行かず、この海に戻ってくる」というこの地方の言い伝えを想い出し、自分の遺体を乗せる船を作ろう考えたのだ。しかし、トガシにはその行為を理解することは出来ない。祭の夜、とうとうツルギが倒れてしまう。君江は、病床の彼に実はユマはツルギの子であったことを告白する。真実を知ったツルギは、ユマの父親としてトガシにユマを幸せにしてやって欲しいと頼み、やがて静かに息を引き取った。ツルギの遺体はトガシによって修理された船に乗せられ、葬られた。しかし葬儀の後、トガシは姿を消してしまう。それから一年後、君江と一緒に海辺の町に暮らし続けるユマの前にトガシが帰ってくる_。