戦争と人間 完結篇のレビュー・感想・評価
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日本陸軍の狂気を見事に描いていた
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ノモンハン事件のところは、本物の戦車も多数出てきて大迫力とともに、この戦いに臨む関東軍上層部の愚かさと下に責任をなすりつけ自決させる無茶苦茶さがお見事。1人生き残った北大路欣也演ずる伍代家次男に、全滅した部隊に戻り全線を死守せよと激を飛ばす参謀は、陸軍の狂気を象徴的に具現化していた。
こんなメタクチャの戦争計画で、敗北や撤退、全滅の責任を下に取らし多くの現場指揮官を自決させていたら、人材が渇枯し、近代戦で勝てる訳が無い。精神主義が支配的で、真剣にリアルな戦争をやっていない。これが延々と続いてしまったのが大日本帝国の一番の敗因と思ってしまった。
科学的合理性に基づかない軍隊、戦術、議論、上層部の無謬性、残念ながら、現在の日本国の組織でも蔓延している様にも思える。何が悪いのだろうか?主因は教育なのか?報道なのか?それとも知識人の知性の強靭性の無さなのか?同調性圧力に頼る為政のなせるわざなのか?
上官による暴力で名誉の戦士したと観客に思わされた伍代家次女(吉永小百合)の夫(山本圭)が、憲兵隊の言葉により、実は生きていることが判明し、中国軍の捕虜となり人間として扱われているエピソードは、秀逸であった。生きてることに気が付き、喜びに満ちる吉永小百合の瞳の輝きは、実に素晴らしく、見ているこちらまで幸せを感じてしまった。
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