劇場公開日 1994年9月23日

「万人受けはしないが、原一男監督作品が好きなら」全身小説家 GAJIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 万人受けはしないが、原一男監督作品が好きなら

2025年10月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

「ゆきゆきて、神軍」があまりに衝撃的だったので原一男作品に興味を持ち鑑賞。
癌を告知された作家・井上光晴の闘病生活を追ったドキュメンタリ。
井上氏は非常に社交的な性格。「文学伝習所」と呼ばれる小説セミナーを主催し、多くの受講者とは自宅で酒盛りをするほどの仲良さだ。
受講者には女性が多く、驚くことにほとんどの女性が彼に男性としての好意を抱いている。インタビューに応じる女性たちは皆、眼を潤ませ、艶かしい表情で彼を語り、井上氏のカリスマ性が見てとれる。
映画は井上氏の癌との闘病生活を中心に描かれるが、一方、関係者へのインタビューを重ねるうちに彼の出自に不可解な事実が浮かんでくる。

作家の闘病記としての側面と、その内面に潜む虚構を暴いていく調査報道的側面の二面性が面白く、映画の引き込まれていく。

中盤に手術シーンがあるが、かなり生々しいので鑑賞には注意です。

GAJI
PR U-NEXTで本編を観る