「単なるチャンバラ劇ではなかった」切腹 mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
単なるチャンバラ劇ではなかった
クリックして本文を読む
マーティン・スコセッシが深い感銘を受けた映画だと知って、前々から気になっていたのですが、話の内容は全く知らないまま観賞。ただ残忍な切腹シーンを見せる映画ではなく、これほどまでにメッセージ性が強い物語だったとは…。
チャンバラ続きかと思えば、そうではなく、中盤までは井伊家の家老と津雲の会話続きで、津雲がいざ切腹となったときに、身の上話がはじまって、はて、どうなるか?と、否が応でも引き込まれていきます。
津雲が娘婿、求女のことを語った言葉言
しかし、よくぞ、血迷うた
拙者、褒めてやりたい
いかに武士とはいえ
所詮は血の通うたる人間
かすみを食うていきていけるものでもない
武士の面目など上辺だけ
三島由紀夫の『葉隠入門』を読み始めたばかりで自分にとってはタイムリーな観賞でした。三島によれば「切腹という積極的な自殺は、西洋の自殺のように敗北ではなく、名誉を守るための自由意思の極限的なあらわれである」らしいですが、三島由紀夫自身はこの映画『切腹』を高く評価しています。もっとも、映画では「形骸化した武家社会」として、武士道のありかたに疑問を投げかけているのですが。
コメントする