セーラー服と機関銃のレビュー・感想・評価
全37件中、1~20件目を表示
角川映画で大人になった
私は角川映画を観て育った。
主題歌だってほとんど歌える。
その影響なのか自分はちょっと変わった発想をする子供だったように思う。
ちょっと変わった発想って?
それは「17歳になったら黒のダブルスーツに身を包んだヤクザのおじさん達が学校の正門前にズラリと並び自分を出迎えに来てくれるだろう」と言う、まあ発想と言うかは妄想?いや憧れのみたいなものが兎に角あった。
セーラー服を着た女子高生がある日突然、目高組なる弱小ヤクザの4代目組長を襲名しいぶし銀の兄貴分や陽気な若い衆と兄弟の盃を交わす事になる。そしてクライマックス、新興勢力の悪徳ヤクザ組事務所で彼女は正義の機関銃を撃ちまくる。まさにタイトルそのままにセーラ服と機関銃の世界観である。その非日常的なストーリー展開に子供ながらワクワクしたものである。
私にはそれこそが映画だった。
兄貴分の佐久間を演じた渡瀬恒彦さんは当時30代後半だったはず。自分はその年齢をいつの間にか追い越してしまった。大人が今以上に大人だった時代。自分の命をかけて誰かを守るとか本気で誰かに惚れるとか私が憧れ目指した大人は角川映画の中にいたように思う。結局、憧れのままでしたけど。
いや、今からでも遅くない。その憧れにちょっとだけでも近づけるよう慣れ過ぎた生活から抜け出してみるのも良し。セーラー服と機関銃を口ずさみながらね。
カイカン
圧巻の長回し
単なるアイドル映画ではない、大いに実験的で野心的な演出で、今でも語りつがれる理由も納得です。
惜しまれつつ25年7月27日に閉館する「丸の内TOEI」さんにて「さよなら丸の内TOEI」プロジェクトがスタート。同館ゆかりの名作80作品以上の特集上映中。
今週は角川映画特集。
『セーラー服と機関銃』『時をかける少女』の豪華2本だて。
『セーラー服と機関銃』(1981年/112分)
ご存じ薬師丸ひろ子氏が一躍国民的トップスターへ駆け上がった代表作。
監督は相米慎二氏、薬師丸氏とは監督デビュー作『翔んだカップル』(1980)以来2度目のタッグ。
すでに何度も鑑賞してますが鑑賞するたびに新たな発見がありますね。
いわゆる主演アイドルの笑顔のアップがバンバン多用される【アイドル映画】ではなく、ひたすら望遠のロングショットと、ほぼすべてのシーンがワンカットの長回しで圧巻。
ほとんど寄りのアップショットがなく、あまつさえ移動ショットでは樹木がキャストに被ってしまうほど。
通常なら「ここで切り返してアップ」が定石のシーンでもロングの長回しで、脇の目高組トリオや柳沢慎吾氏、光石研氏が演じる高校生トリオはほとんどアップがなく最後まで個々の判別がつかずですが、その徹底ぶりは芸術の域。特に地蔵菩薩から暴走族と遭遇、バイクを借りて新宿通りを疾走するシーンは5分近くのシーンは壮観ですね。
単なるアイドル映画ではない、大いに実験的で野心的な演出で、今でも語りつがれる理由も納得です。本作での長回しの試行錯誤が『ションベンライダー』(1983)、そして『台風クラブ』(1985)と洗練されていきますね。
薬師丸氏も前作『翔んだカップル』で監督と気心が知れていたのか、監督の意図する演出に忠実でしたね。逆にアップのシーンが少ないので、佐久間真(演:渡瀬恒彦氏)との別れのキスのシーンなどがより強く印象に残ります。
クライマックスの機関銃を撃つシーンは、ヘロインを溶かして隠した瓶の破片が、薬師丸氏の頬に直撃、実際に流血しているのですがカットせず続行、OKテイクにしたのは、スローモーションシーン、流行語にもなった「カ・イ・カ・ン」のセリフともあいまって映画史に残る軌跡のシーンになりましたね。
ラスト。
目高組の仲間全員と別れ、元の女子高生に戻った泉が、新宿東口の歩行者天国でセーラー服姿に赤い口紅と赤いヒールを履いて、マリリン・モンローのようにスカートをひらめかす長回しに、本人歌唱の「セーラー服と機関銃」が流れるエンディングは、薬師丸ひろ子氏の神々しい魅力と歌声で、何度観てもグッと来ますね。
さよなら丸の内1
さよなら丸の内のプログラムで観て参りました。
天涯孤独になった少女が祖父の遺言で、ヤクザの組事務所を襲名して、奮闘するという話。
ずっと昔に小説は読んでましたが、映画はテレビで見たきりでした。
今回、せっかくの機会なので劇場に足を運びました。
それにしても
話の流れや成り行きが強引過ぎる印象でした。
このヒロインの行動に当時はどう共感とかあったのかなぁ。
展開が早いやら、常識が違いすぎるやらで
あまり物語に集中出来ず。
あの名場面、「……カイカン……」の前後や繋がりが観れたのは良かった。
このセリフのおかげでヒットした映画なんじゃ?
薬師丸ひろ子の綺麗さは当時はわからなかったけど、今見るとやっぱり違うな、という印象。
当時薬師丸ひろ子が相当、追い詰められて撮影したエピソードなどを知っ...
44年過ぎて再見すると更に深い
BSで4kリマスター版の放送があり、見出したら止まらなかった。当時でも現実離れした赤川次郎のストーリーに凝ったロケ場所に漫画的な登場人物を置きつつ、一作目の「翔んだカップル」同様のドキュメンタリックな長回しで掬い取る。そしてきちんと破綻せずストーリーが語られる。後半はほとんど見ていないが、本作と「ラブホテル」が相米慎二のベストツーだという感想は覆ることがなかった。
そして薬師丸ひろ子と同い年のマタゾウは、あまりに可愛い当時の彼女から、その後の自らの様々な出来事や彼女の作品を踏まえた今改めて見ることができて良かったと思う。時間を踏まえて、星いづみ、ぢゃなくて星いつつ。
ちなみに事務所ビル前で転ばされる風鈴売りは角川春樹その人です。
思ったよりもとんがっていた
【故、相米慎二監督が薬師丸ひろこさんをアイドルとしてではなく、一人の若き優れたる資質を持つ女優として描いた作品。薬師丸さんの美しき声が全国に認知された作品でもある。】
ー 年代的に初鑑賞である。他の作品レビューでも記載したが、薬師丸さんの私にとっての印象は、優しい日本のお母さんなのである。
だが、最近少しづつ鑑賞している薬師丸さんのお若き頃の作品を鑑賞すると、そこには角川氏に見出された若き女優さんの魅力が詰まっているのである。-
■父を交通事故で亡くしたばかりの女子高生・星泉(薬師丸ひろ子)は、遠縁に当たる日高組組長の遺言で、構成員が4人しかいないその組の組長となる。
麻薬トラブルに巻き込まれ、部下を次々と殺された彼女は、佐久間(渡瀬恒彦)や政ら生き残った部下と共に敵地へ乗り込むが…。
◆感想
・ストーリー展開は、荒唐無稽であるが、それをキッチリと薬師丸ひろ子さんや、渡瀬恒彦さんや刑事でありながら、悪の道に染まった柄本明が補っている。
・驚いたのは、故、相米監督のヒロイン星泉を演じた薬師丸ひろ子さんの、映し方である。
2度ほど、お腹丸出しのブリッジをさせたり(特に、ストーリーに関係ない。)、アイドル映画であればアップが多用される昨今の映画とは異なり、ロングショットや魚眼レンズでの撮影など、故、相米監督の”アイドル映画を撮っているのではない!”と言う声が聞こえて来そうな映像の数々に驚く。
ー 相当、角川氏に叱られたのではないかなあ・・。-
<ラスト、目高組がビルの屋上で解散するシーンも、俯瞰ショットで撮られているし、その後薬師丸ひろ子さん演じる星泉が、普通の女子高生として、街中の雑踏で幼き子と絡んだり、マリリン・モンロー宜しく地下鉄の通気口の上で、スカートが舞うシーンなどは、故、相米監督の”俺は、アイドル映画を撮っているんじぇねえぞ!”と言う想いを感じた作品である。>
角川映画と言えばこの映画のイメージ
ショック
子供の頃、ベストテンやトップテンを観て歌だけは覚えていたが、内容はまったく知らなかった。不良のドラマの一つで学校で機関銃をぶっ放すんだろうと想像していた。その後、数十年すっかり存在を忘れていた。
地上波で再放送されたので何となく録画して観た。かなりはまった。
あの昭和の空気感が見事に表現されている。特にヤクザの不毛ないさかいと虫けらのような死に方。当時、戦争やヤクザの争いで死んでいく人たち、というより死をあまり恐れないかに見える人々の感覚が怖くて仕方がなかった。
アイドルに対して過剰なサドな演出、まるで芸人扱い、今じゃ絶対無理だ。そしてヤクザな男たちの名演。渡瀬さん、三國さん、柄本さん、寺田農さん。まゆみさんのメイクは今観ても違和感がない。美人。
仕事で頻繁に訪れた新宿センタービル、損保ジャパンビル、そして最近よく近くを通る代々木の踏切の30年前の姿がこの映画で。
こだわった映像とキャラクターの設定で、ふとレオンを思い出した。
酷評もある最後のシーン、死んだかつての仲間のヤクザたちを心の片隅に置いて(チンピラの命はそもそも軽くはかないのでそれだけでも特別)一人堅気の生活に戻った少女を、あの曲で表現したと理解した。
薬師丸ひろこの歌がこの数日、頭から離れない。
充満する死の気配
薬師丸ひろ子、最高です
カ・イ・カ・ン では無い…
アイドルと歌の力と すけべ心
原作未読。
ライトミステリーの代名詞ともいえる赤川氏の作品。
う、う~ん、映画は突っ込みどころ一杯。
軽いタッチで進んでいく描写ではなく、泉には変にエロチックな描写をしながら、周りを演技派で固めて、コメディタッチではなく、結構重々しく撮っているからバランスが悪い。
「完璧版」のDVDを借りたらしい。
監督が思い描く”少女”にやらせたいことをやらせたような映画。
強引な、シーン、シーンを見せればいい、その繋がりなんて関係ないというような展開。
なので、主人公をはじめ登場人物の心情・行動原理を共感して追えない。シーンやカットごとに気持ちを切り替えてみる映画。
なんでこの映画があれほどヒットして、有名で、ファンがいるんだろうと思う。
一つは、そんなぶつ切りの設定の中でも、当時としたら印象に残るシーンがあるからか。
実際にはありえないが、校門でのお出迎え。”お嬢様”とか、”番長もの”でも、いろいろな形で、映画・ドラマ・アニメ・漫画でもあるシーン。しかもの取り合わせがおもしろい。
アイドルのクレーン釣り。無名の新人や落ち目の芸人を売り出すためではない。大切に扱われるはずと思っている観客の予想を裏切っての仕打ち。今でこそ、アクションするスターはいるけれど、このシーンて、アクションではなく罰ゲーム。初見時は、この後の銃撃シーンより記憶に残った。
そして、銃撃シーン。「か・い・か・ん…」。道義心的には突っ込み入れるが、やっぱりスカッとする。しかも、周りの子分たちが、泉を気遣っているさまが、またなんともこそばゆい。
かつ、渡瀬氏、大門氏、柄本氏、北村氏、寺田氏、三國氏ら脇を固める俳優のうまさ。今観てもしびれる。
そんな中にあって薬師丸さんの演技はイマイチ。
演技の質以前に、何してんの?という不可解な行動が多い。人が話しているのにああいうことしながら聴くとはなんだと怒鳴りたい場面とか、ぴょんぴょん飛び跳ねるとか、変な行動も多々あり。監督がやらせているんだろう。
なのに、目が薬師丸さんを追ってしまう。それがスター・アイドルのオ―ラなんだろう。
Wiki等を読むと、赤い口紅、赤いハイヒール…少女が女になる過程の…みたいなことが書かれていた。それって、男が描く、少女であり、女。不愉快になる。性の対象としてしか見ていないんだな。
ロマンポルノ出身の監督と知り納得。
そして、意味不明なラストにかぶって、あの有名な名曲が流れる。
薬師丸さんの伸びやかで鈴のような声と、心地よいサウンドと言ってみたい、言われてみたい胸キュンの歌詞。
この歌だけで、素敵な一本の映画を観た気になる。
歌って偉大だ。
薬師丸ひろ子の記念碑的作品
高校生の時リアルタイムで見た
角川映画って宣伝がすごくて今でいうメディアミックスの走りだったと思う
読んでから見るか見てから読むかって
当時すごい話題になってミーハーで見に行った
正直当時からあほらしい話って感想しかなかった
後の時をかける少女(原田知世)にははまったから角川アイドル映画全否定ではない
薬師丸ひろ子は飛び切りの美人ではないけど不思議な魅力ある子だなとは当時から感じてた
あれから何十年か経って久々BS放送で見た
やはりストーリーは荒唐無稽でばかばかしい限りなのだが映像なんかが今見るとかなり凝ってる
飽きずに最後まで観賞できたのはやはり薬師丸の魅力と渡瀬の名演のおかげかな
面白いか面白くないかと言えばやはりストーリーは面白くないけど薬師丸ひろ子がこの映画で大ブレークしたのは納得できるかな
全37件中、1~20件目を表示