セーラー服と機関銃のレビュー・感想・評価
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【故、相米慎二監督が薬師丸ひろこさんをアイドルとしてではなく、一人の若き優れたる資質を持つ女優として描いた作品。薬師丸さんの美しき声が全国に認知された作品でもある。】
ー 年代的に初鑑賞である。他の作品レビューでも記載したが、薬師丸さんの私にとっての印象は、優しい日本のお母さんなのである。
だが、最近少しづつ鑑賞している薬師丸さんのお若き頃の作品を鑑賞すると、そこには角川氏に見出された若き女優さんの魅力が詰まっているのである。-
■父を交通事故で亡くしたばかりの女子高生・星泉(薬師丸ひろ子)は、遠縁に当たる日高組組長の遺言で、構成員が4人しかいないその組の組長となる。
麻薬トラブルに巻き込まれ、部下を次々と殺された彼女は、佐久間(渡瀬恒彦)や政ら生き残った部下と共に敵地へ乗り込むが…。
◆感想
・ストーリー展開は、荒唐無稽であるが、それをキッチリと薬師丸ひろ子さんや、渡瀬恒彦さんや刑事でありながら、悪の道に染まった柄本明が補っている。
・驚いたのは、故、相米監督のヒロイン星泉を演じた薬師丸ひろ子さんの、映し方である。
2度ほど、お腹丸出しのブリッジをさせたり(特に、ストーリーに関係ない。)、アイドル映画であればアップが多用される昨今の映画とは異なり、ロングショットや魚眼レンズでの撮影など、故、相米監督の”アイドル映画を撮っているのではない!”と言う声が聞こえて来そうな映像の数々に驚く。
ー 相当、角川氏に叱られたのではないかなあ・・。-
<ラスト、目高組がビルの屋上で解散するシーンも、俯瞰ショットで撮られているし、その後薬師丸ひろ子さん演じる星泉が、普通の女子高生として、街中の雑踏で幼き子と絡んだり、マリリン・モンロー宜しく地下鉄の通気口の上で、スカートが舞うシーンなどは、故、相米監督の”俺は、アイドル映画を撮っているんじぇねえぞ!”と言う想いを感じた作品である。>
角川映画と言えばこの映画のイメージ
私が小学生の頃に流行ったこの映画、主人公の薬師丸ひろ子が機関銃をぶっ放すシーンは非常に有名ですが、今まで観た事が無かったので映画館で観てきました。
1980年代に一世風靡した角川映画って正直言ってストーリーが良いとか演技が良いといった褒められる点が残念ながら少ないのですが、でもこの時代の映画ってなんか味がありますよね。この映画は結構好きです。劇中に出てくる車とか風景がとても懐かしく感じました。
クレーンで吊り上げられるシーンとか暴走族と一緒にバイクに乗るシーンはコンプライアンス的に今の時代では絶対に無理。昭和の時代だからこそできた貴重なシーン。
ショック
子供の頃、ベストテンやトップテンを観て歌だけは覚えていたが、内容はまったく知らなかった。不良のドラマの一つで学校で機関銃をぶっ放すんだろうと想像していた。その後、数十年すっかり存在を忘れていた。
地上波で再放送されたので何となく録画して観た。かなりはまった。
あの昭和の空気感が見事に表現されている。特にヤクザの不毛ないさかいと虫けらのような死に方。当時、戦争やヤクザの争いで死んでいく人たち、というより死をあまり恐れないかに見える人々の感覚が怖くて仕方がなかった。
アイドルに対して過剰なサドな演出、まるで芸人扱い、今じゃ絶対無理だ。そしてヤクザな男たちの名演。渡瀬さん、三國さん、柄本さん、寺田農さん。まゆみさんのメイクは今観ても違和感がない。美人。
仕事で頻繁に訪れた新宿センタービル、損保ジャパンビル、そして最近よく近くを通る代々木の踏切の30年前の姿がこの映画で。
こだわった映像とキャラクターの設定で、ふとレオンを思い出した。
酷評もある最後のシーン、死んだかつての仲間のヤクザたちを心の片隅に置いて(チンピラの命はそもそも軽くはかないのでそれだけでも特別)一人堅気の生活に戻った少女を、あの曲で表現したと理解した。
薬師丸ひろこの歌がこの数日、頭から離れない。
充満する死の気配
再々…見。
絶頂期のアイドルをしてエロスとタナトスをべったり塗り込んだ一本。
田中陽造シナリオの真骨頂。
少女が生き輝く程に死の気配が充満し、男達は先を競うように死んでいく。
「トトロ」「幕末太陽傳」「蛇イチゴ」「戦メリ」…死の気配ゆえの傑作群。
薬師丸ひろ子、最高です
役者ぞろい。セリフがいい。「カイカン」の意味が半ばにちゃんとあるから美しく回収されている。そして、義太夫の語りにのって立ち去る姿は決まりに決まってた(そういえば原作者の赤川次郎さんは文楽好きで劇場ロビーでよくお見かけした)。最後、セーラー服に赤いヒール、下からの風にスカートがふわり。制服姿のマリリン・モンロー。〆の台詞も含めてカッコ良すぎ。
森村泰昌が彼女に「なった」理由がよくわかった。
こんなに遅くになって初めて見たけれど見て良かった。しあわせ。
カ・イ・カ・ン では無い…
元々、薬師丸ひろ子の顔は好きじゃないんだけど、この娘が大人気だったなんて…
作品としては、色々と実験的な映像も多く、女の子が主人公の青春映画とは思えない展開。ストーリーは微妙だけど、お笑いウルトラクイズ的なクレーンのシーンや、本物の暴走族と爆走するシーンなど、今じゃ考えられないシーンも多く、これが大衆に受け入れられた時代があったんだ(!?)って感じ(^_^;)
まぁ、とりあえず、今見たら衝撃的なシーンは多いけど、面白い作品では無い気がする…
それにしても、酒井敏也、柄本明、柳沢慎吾、光石研など、当たり前だけどみんな若い( °o°)
アイドルと歌の力と すけべ心
原作未読。
ライトミステリーの代名詞ともいえる赤川氏の作品。
う、う~ん、映画は突っ込みどころ一杯。
軽いタッチで進んでいく描写ではなく、泉には変にエロチックな描写をしながら、周りを演技派で固めて、コメディタッチではなく、結構重々しく撮っているからバランスが悪い。
「完璧版」のDVDを借りたらしい。
監督が思い描く”少女”にやらせたいことをやらせたような映画。
強引な、シーン、シーンを見せればいい、その繋がりなんて関係ないというような展開。
なので、主人公をはじめ登場人物の心情・行動原理を共感して追えない。シーンやカットごとに気持ちを切り替えてみる映画。
なんでこの映画があれほどヒットして、有名で、ファンがいるんだろうと思う。
一つは、そんなぶつ切りの設定の中でも、当時としたら印象に残るシーンがあるからか。
実際にはありえないが、校門でのお出迎え。”お嬢様”とか、”番長もの”でも、いろいろな形で、映画・ドラマ・アニメ・漫画でもあるシーン。しかもの取り合わせがおもしろい。
アイドルのクレーン釣り。無名の新人や落ち目の芸人を売り出すためではない。大切に扱われるはずと思っている観客の予想を裏切っての仕打ち。今でこそ、アクションするスターはいるけれど、このシーンて、アクションではなく罰ゲーム。初見時は、この後の銃撃シーンより記憶に残った。
そして、銃撃シーン。「か・い・か・ん…」。道義心的には突っ込み入れるが、やっぱりスカッとする。しかも、周りの子分たちが、泉を気遣っているさまが、またなんともこそばゆい。
かつ、渡瀬氏、大門氏、柄本氏、北村氏、寺田氏、三國氏ら脇を固める俳優のうまさ。今観てもしびれる。
そんな中にあって薬師丸さんの演技はイマイチ。
演技の質以前に、何してんの?という不可解な行動が多い。人が話しているのにああいうことしながら聴くとはなんだと怒鳴りたい場面とか、ぴょんぴょん飛び跳ねるとか、変な行動も多々あり。監督がやらせているんだろう。
なのに、目が薬師丸さんを追ってしまう。それがスター・アイドルのオ―ラなんだろう。
Wiki等を読むと、赤い口紅、赤いハイヒール…少女が女になる過程の…みたいなことが書かれていた。それって、男が描く、少女であり、女。不愉快になる。性の対象としてしか見ていないんだな。
ロマンポルノ出身の監督と知り納得。
そして、意味不明なラストにかぶって、あの有名な名曲が流れる。
薬師丸さんの伸びやかで鈴のような声と、心地よいサウンドと言ってみたい、言われてみたい胸キュンの歌詞。
この歌だけで、素敵な一本の映画を観た気になる。
歌って偉大だ。
薬師丸ひろ子の記念碑的作品
高校生の時リアルタイムで見た
角川映画って宣伝がすごくて今でいうメディアミックスの走りだったと思う
読んでから見るか見てから読むかって
当時すごい話題になってミーハーで見に行った
正直当時からあほらしい話って感想しかなかった
後の時をかける少女(原田知世)にははまったから角川アイドル映画全否定ではない
薬師丸ひろ子は飛び切りの美人ではないけど不思議な魅力ある子だなとは当時から感じてた
あれから何十年か経って久々BS放送で見た
やはりストーリーは荒唐無稽でばかばかしい限りなのだが映像なんかが今見るとかなり凝ってる
飽きずに最後まで観賞できたのはやはり薬師丸の魅力と渡瀬の名演のおかげかな
面白いか面白くないかと言えばやはりストーリーは面白くないけど薬師丸ひろ子がこの映画で大ブレークしたのは納得できるかな
赤川次郎原作。薬師丸ひろ子の人気を決定的なものとした作品。 女子高...
赤川次郎原作。薬師丸ひろ子の人気を決定的なものとした作品。
女子高生がヤクザの組長に。この設定だけの面白さ。はっきりいってストーリーははちゃめちゃだ。原作もそうなのかな。赤川次郎、当時は超人気でしたね。個人的にはあんまり合わなかった記憶。
しかしながら、本作、どことなくおしゃれなんですよね。映像なのか、何なのか、芸術センスのかけらもない私が妙にストーリー以外に惹きつけられました。カ・イ・カ・ン。
口紅とハイヒール
佐久間はヤクザの哀しさを泣く。雨が降って遂には土砂降り。組長ひろ子はその中で体操競技?佐久間の台詞をおうむ返し。ここ何処?ってか、ここ何?
おかしなことが満載で書ききれない。それが意図された演出であり画であることはよく分かる。しかし、意味は分からないし、答えもないだろう。
個人的には、台風クラブが決定的な映画体験である。相米慎二のやることに文句はつけない。ある日、頭の中でそのワンカットが蘇ることもある。しかし、この映画がこの年の邦画収入1位で、薬師丸ひろ子の人気を決定づけたって、この時の日本人って何?30過ぎの映画監督と高校生女優による実験的でおかしな世界をメインストリームに据えたその意気の良さ。80年代の空気感。
当時はすごく面白く感じたのですが、、、
「快感」はキャッチーでしたね。
この映画、当時はすごく面白く感じたのですが、今観るとそれほどではなかったです(すごくつまらないということもありませんが)。
ということは、このあたりの角川映画はやはり子供向けの映画だったということなのでしょうか。
希有なアイドルの魅力を爆発させています
素晴らしい!
見事な映画だった
相米慎二の確かな実力を感じました
希有なアイドルの魅力を爆発させています
女でなく母性の清潔な魅力です
原作小説の通り荒唐無稽な喜劇ともいえる内容であるにもかかわらず、しっかり任侠映画として成立しています
高倉健や富司淳子の系譜を繋いでいるのです
劇中何度も登場するビル群の中の墓場
あれは映画「仁義の墓場」で登場する石川力夫の墓がある新宿7丁目の常円寺です
つまり監督は何度も過去の任侠映画と地続きの作品だと宣言しているのだと理解しました
たまたまなのか必然なのか東映で配給されたのも不思議な縁です
渡瀬恒彦のおとこぶりの迫力は流石です
素晴らしい演技です
伝説となった薬師丸ひろ子の機関銃乱射シーンは現実の事故だけに彼女の顔面の出血に顔色を変えて気遣う渡瀬恒彦の動き!
まかり間違えば失明もありえた大事故なのだから当然と言えば当然ですが、それにしてもこのシーンは神がかった映像が撮れています
大ヒットした主題歌はラストシーンにかかります
この曲がまた名曲である上に薬師丸ひろ子の歌唱が実に素晴らしいので特に注目して頂きたいものです
この曲は彼女を一大スター歌手に押し上げただけでなく、本作自体を空前の大ヒットに導いています
『燃える勇者』と二本立て
劇場公開時は自由席、入れ替えない、真冬の寒空の下劇場の外は長蛇の列でいつ入れるかわからない、立見もほどほどあり、という状況で観ましたが、今となってはいい想い出でしかない。
一発ネタと薬師丸ひろ子観賞用作品として観ればまあ。
監督が無能・脚本が雑・演出が珍妙
公開当時大ヒット・大ブームを起こした本作品。当時の自分は小学生で、内容の細かい点は覚えていない・理解していないけど、とにかく大興奮したので、面白い映画だと思っていた。しかし、今回改めて鑑賞して実に酷い作品だったのだという事が分かって衝撃を受けた。
間の悪いオープニング、いきなり意味不明にブリッジして薬師丸ひろ子登場、焼香を上げているのがオープニングで亡くなったお爺さんに対してなのかと思いきや、実は同じタイミングで死んだ事になっている父親というのがややこしい、遠距離でカメラ固定して延々と長回しのカットが何箇所もある、風祭ゆきの役柄設定が適当で雑、折角三国連太郎が出てるのに、本人と識別出来るカットが一つも無い、豪華な衣装着て海辺で食事会した後の意味不明な殺し合い、数え上げればキリが無い。この人達って本当に映画製作のプロなの?こんな演出に延々と付き合わされた若き日の薬師丸ひろ子が可哀想。
その全ての意味不明で雑でいい加減な展開と演出が、薬師丸ひろ子の唯一無二の魅力だけで支えられ、そしてエンディングに流れる名曲で、何だか分からないけど素敵な映画を見終えた気分にさせられる。
相米慎二にしか撮れない唯一無二の一作に、カ・イ・カ・ン!
監督の相米慎二、主演の薬師丸ひろ子、角川映画にとっても代表作の一本。
長澤まさみや橋本環奈主演でリメイクされた事も記憶に新しい。
名作ではあるが、今見るとツッコミ所満載でシュールであったり、相米監督のアート精神が反映されたりと、何とも不思議な魅力を持った作品でもある。
まず、ツッコミ所。
女子高生がヤクザの組長を継ぐ…という話の根本そのものを突っ込んだら埒が開かないので、
例えば、泉と佐久間のロマンスやキス。大人の男性への憧れと言えば聞こえはいいが、ズバリ言えばセーラー服女子高生と中年男性のロリコン的LOVE。これ、名作だから何も言われてないようだけど、昨今のアホ設定の先生と生徒の禁断LOVEと何が違うのだろうか。
泉が大仏の上であぐらをかいたり、バスタオル姿でゴロゴロしたり、他にも意味不明な怠惰的なシーンがちらほら。
薬師丸ひろ子の直球のアイドル映画だと思ったら、一風変わった作風に戸惑う事間違いナシ。公開時、絶対賛否呼んだだろう。
その仕掛人である相米演出。
代名詞的長回しやロングショットの多用など、それが単なるアイドル映画に留まらない才気を見せる。
この時の薬師丸ひろ子の演技は拙い。『~卒業』で橋本環奈の演技がフルボッコに叩かれたが、演技力にそう変わりはない。
決定的に違うのは、薬師丸ひろ子の魅力を充分引き出し、女優としての成長をドキュメントのように取りこぼさず、それでいてちゃんと薬師丸ひろ子のアイドル映画として、恋を知って少女が一歩大人になる青春ドラマとしても確立している点である。
アイドル映画であり、青春映画であり、実験的アートフィルムであり、
説明不要のあの名台詞・名シーン、名主題歌に酔いしれる。
相米監督にしか撮れない唯一無二の一作。
たがらこそ、カ・イ・カ・ン!なのである。
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