劇場公開日 1981年12月19日

「アイドルと歌の力と すけべ心」セーラー服と機関銃 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5アイドルと歌の力と すけべ心

2020年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

原作未読。
ライトミステリーの代名詞ともいえる赤川氏の作品。

う、う~ん、映画は突っ込みどころ一杯。
 軽いタッチで進んでいく描写ではなく、泉には変にエロチックな描写をしながら、周りを演技派で固めて、コメディタッチではなく、結構重々しく撮っているからバランスが悪い。

「完璧版」のDVDを借りたらしい。
 監督が思い描く”少女”にやらせたいことをやらせたような映画。
 強引な、シーン、シーンを見せればいい、その繋がりなんて関係ないというような展開。
なので、主人公をはじめ登場人物の心情・行動原理を共感して追えない。シーンやカットごとに気持ちを切り替えてみる映画。

なんでこの映画があれほどヒットして、有名で、ファンがいるんだろうと思う。

一つは、そんなぶつ切りの設定の中でも、当時としたら印象に残るシーンがあるからか。
 実際にはありえないが、校門でのお出迎え。”お嬢様”とか、”番長もの”でも、いろいろな形で、映画・ドラマ・アニメ・漫画でもあるシーン。しかもの取り合わせがおもしろい。
 アイドルのクレーン釣り。無名の新人や落ち目の芸人を売り出すためではない。大切に扱われるはずと思っている観客の予想を裏切っての仕打ち。今でこそ、アクションするスターはいるけれど、このシーンて、アクションではなく罰ゲーム。初見時は、この後の銃撃シーンより記憶に残った。
 そして、銃撃シーン。「か・い・か・ん…」。道義心的には突っ込み入れるが、やっぱりスカッとする。しかも、周りの子分たちが、泉を気遣っているさまが、またなんともこそばゆい。

かつ、渡瀬氏、大門氏、柄本氏、北村氏、寺田氏、三國氏ら脇を固める俳優のうまさ。今観てもしびれる。
 そんな中にあって薬師丸さんの演技はイマイチ。
 演技の質以前に、何してんの?という不可解な行動が多い。人が話しているのにああいうことしながら聴くとはなんだと怒鳴りたい場面とか、ぴょんぴょん飛び跳ねるとか、変な行動も多々あり。監督がやらせているんだろう。

なのに、目が薬師丸さんを追ってしまう。それがスター・アイドルのオ―ラなんだろう。

Wiki等を読むと、赤い口紅、赤いハイヒール…少女が女になる過程の…みたいなことが書かれていた。それって、男が描く、少女であり、女。不愉快になる。性の対象としてしか見ていないんだな。
 ロマンポルノ出身の監督と知り納得。

そして、意味不明なラストにかぶって、あの有名な名曲が流れる。
 薬師丸さんの伸びやかで鈴のような声と、心地よいサウンドと言ってみたい、言われてみたい胸キュンの歌詞。
 この歌だけで、素敵な一本の映画を観た気になる。
 歌って偉大だ。

とみいじょん