「野生の女よ、さようなら」スローなブギにしてくれ こうたさんの映画レビュー(感想・評価)
野生の女よ、さようなら
サイドテールは浅野温子の為にある髪型だと思う。
おくれ毛までも自在に操る様はまさにスーパーナチュラル。
浅野ゆう子がありとあらゆる試行錯誤を得てナチュラル路線という鉱脈を掘り当てたのに対し、浅野温子の佇まいはエデンの海から不変。
揺るぎないファッション感もあるのだろうが、レッドカーペットではハイヒールを脱ぎ捨てたように、彼女は裸足のままでいたい永遠の野生児なのだ。
ムスタングに無理やり買わされたワンピース以外の野生児姿は時代を超越しており、すでに稀代のファッショニスタの存在感。
そんな彼女に時代が追いつくには、あと7年待たねばならず。
しかし追いついた時代は彼女をハイブランドで飾り立てトレンディドラマの女王に祭り上げた。
ありとあらゆる芸能界の辛酸を嘗め尽くしたであろうゆう子さんに関しては、心から良かったね、といえるのだが、温っちゃんに関しては…。
野生児がブラウン管を暴れまわる姿が持て囃されたのだろうが、本作で改めて浅野温子の女優としてのポテンシャルに驚愕させられると、手綱をコントロール出来る監督は必要なんだなぁと思わされるのである。
とはいえ、成功は成功、大成功。浅野温子自身は自らの女優人生に何の悔いも無いだろう。
それでもトレンディ女王時代の彼女の何処か虚ろな瞳は、いつも映画界という荒野を懐かしんでいたように思えてならないのである。
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