砂の器のレビュー・感想・評価
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経費で遠出するのにワクワク感が隠せない丹波哲郎がいい
時間ができたので、ちゃんと観たことがなかった名作を観てみました。 結構脚本には無理があるなあ。汽車の中から、シャツを紙吹雪のように捨てる女、それに偶然居合わせた記者、その記事を偶然読んだ若い刑事、とか。う〜ん。 丹波哲郎が演じた今西刑事が好感。遠出するのが好き、経費で行くとソワソワする、手柄たてたい、でも独り占めはしない、涙もろい。。。めちゃくちゃ人臭いキャラ。これをクールな二枚目イメージの丹波哲郎が演じたからこそ、そこにギャップが生まれ、好感のもてる登場人物が出来上がった。 しかし、凄い役者達が出ていたんだなあ。 丹波哲郎、加藤剛、渥美清、緒方拳、加藤嘉、島田陽子、森田健作、、、。亡くなった元駐在さんが緒方拳だった時にはその豪勢さに驚いた。 クライマックスシーンが秀逸。 加藤剛の演奏シーンに合わせ、幼い頃から現在に至るまでの描写が展開される。音楽の盛り上がりと場面がシンクロする。斬新だ。 ※島田陽子美しい。 ※渥美清が演じる映画館の支配人は、寅さんに見えて仕方がない(笑
原作が良い、緒方拳が良い、加藤嘉が良い、がチカラの伝わらない作りは残念。
物語の設定は昭和初頭から中期。 撮影は1970年初め頃と随所に昭和感がある。 やはり原作の松本清張ありきで 綴られる物語の内容は深い。 主演よりも後半登場する緒方拳・加藤嘉が良い。 どちらも善人・悪人を演じられる優れた俳優で この映画の中でも「その人」を演じている。 その他の登場人物も本当に多彩・豪華で ほとんどワンシーン・ワンカット登場が多く 彼らだけで後何本も映画の撮れるほどだ。 しかし残念なのは犯人の薄さ、意図のなさ 人間としての「その人不在」は悲しくなる。 また音と演奏の動きの合っていないピアニスト その姿には残念以外に思い当たる言葉はない。 プロならもっと練習して挑んでほしく プロならOKを出してはいけない、 レベルは低い、と厳しく思う。 その中で救いは緒方拳・加藤嘉の演技 そして今はもう無い昭和の風景だった。 ※
0076 そんな奴はしらん!ウッウッ
1974年公開 プログラムピクチャー全盛の日本では対応不可能だった 1年越しの撮影期間。 監督、カメラマンが納得するまで待ち続けて捉えた 映像の深さ。それによって表現される日本の四季。 ジャニタレ、CG全盛では生まれない美の大作。 原作目線では成功者の過去を知っている知人を殺害、 という推理小説の1パターンの元祖で 原作は原作で味があるが脚本の橋本忍は あれはミステリーとしては全然面白くない。 親子の宿命の話にする、と。 コンサート会場から奏でられる「宿命」素晴らしい! バックでは迫害される親子が日本の四季を旅する。 オープニングの砂の器が壊れていく様も印象深い。 初鑑賞は高一でしたが泣けましたね。 話を最後に統括する丹波哲郎も板についています。 あー45年後に亀嵩駅行きましたよ 90点 初鑑賞1977年2月23日 梅田コマゴールド
ここまで主張性を含めたいならドキュメンタリーでやった方が良いのでは?
個人的にミステリーに関しては、島田荘司や綾辻行人由来の新本格嗜好なので、松本清張に代表されるような所謂「社会派」はあまり好きになれない。 「差別問題」や「偏見」に対する異議申し立てとしての意味合いは分かるものの、あまりにもテーマが重々し過ぎて、ミステリーやサスペンスとしてのエンタメ要素や謎解きのカタルシスはまったくない。そう言う意味で、あえてこのテーマを「推理もの」というジャンルで扱わなくてはならない必然性が分からない。ここまで主張性を含めたいならドキュメンタリーでやった方が早い。むしろ、こういう形でハンセン氏病を扱う事に疑問が残る。 入手した情報による点と線の結び方も強引で、論理的な推理部分はほとんど無い。 それ以外は旅先の風景の叙情性でもっているようなもの。無駄に時間が長いのも辛い。
過酷な運命が紡ぐ壮大な人間ドラマ
かなり大昔に劇場鑑賞した作品だが、今でも鑑賞した時の衝撃ははっきり覚えている。 冒頭シーン。波打ち際に作られた砂の造形物が、波が打ち寄せる度に少しずつ崩れていく様を憂いを込めて描く。作品タイトルとリングしていて、作品世界に観客を誘うプロローグであり、凄い作品を観るんだなという予感がした。 JR蒲田駅近くで発生した殺人事件。犯人に結び付く手がかりは少なく、捜査は難航する。しかし、捜査を担当した二人の刑事は、わずかな手がかりをもとに、執拗に、粘り強く、執念の刑事魂で、犯人に迫っていく。 本作は、単なる犯人捜し物語ではない。壮大な人間ドラマである。 犯人の犯行動機が、あまりにも切な過ぎる。 犯人の子供の頃の回想シーン、差別を受けて父子で日本各地を放浪するシーンが、感動的で美しく、哀しく切ない。日本の美しすぎる四季の風景と、壮大で優美な音楽が相まって、いつ果てるともない放浪を続ける父子の姿に感涙必至。繰り返し挿入される、このシーンが作品の背景色的な役割を担っている。作品の雰囲気を作り出している。 父子がようやく辿り着いた安息の地での出会いが、後の過酷な運命につながっていく・・・。 差別、運命、宿命、生きること、愛すること、栄光、悲劇、等々、様々な要素を巧みに盛り込んでいる。それらの要素について深く考えさせられる作品である。長尺作品であるが、作品世界に入り込んで、この壮大な物語を鑑賞、否、体験することができる。正しく映像体験することができる。 観終わって、場内が明るくなっても、席から離れられなかった。暫く観終わったという充足感と、圧倒的な感動の余韻に浸っていた。 こんな作品を後何本観られるだろうか。 こんな作品に出逢えることを信じて、映画生活を続けていきたい。
生き地獄
壮絶。誰も悪くないのに、こんなことになるなんて。コロナの時も差別あったけど、ここまでじゃない。まさに生きて地獄を見る。辛い流浪の旅で育まれる父と子の情愛と、絆の強さに、涙腺崩壊。警察の地道な捜査で、少しづつ判明する事実と、コンサートの演奏が重なる演出がニクい。舞台裏側から和賀を見つめる2人の刑事。そこは入ったら舞台監督に怒られるところだよ! BS松竹東急の放送を視聴。
松本清張作品、初めて。
有名なので、松本清張の存在は知っていたけど、わたしはたぶん今回が初めて。 ハンセン病の事とか、時代背景が今と違いすぎて面白い。戸籍のこととか地名を調べるのにめちゃくちゃ苦労するトコとか、色々今じゃ考えられない。 名作で、何度もドラマ化されて擦り倒されている小説だって事も初めて知った。 丹波哲郎がちゃんと演技してるのも初めて観た気がする。 色んな意味で面白かった。
松本清張の原作は昔読んでいたが、映画は初鑑賞。140分によくまとめ...
松本清張の原作は昔読んでいたが、映画は初鑑賞。140分によくまとめ上げられた巧みな脚本、情感溢れる映像と日本の原風景。ラストのピアノとオーケストラの演奏、捜査会議、犯人の回想シーンのモンタージュは原作の松本清張も評価するほど圧巻。日本映画としていろいろな意味で文化的価値のある作品だと思う。
当時の時代背景ほかを知らないとやや解釈が難しい
今年38本目(合計1,130本目/今月(2024年1月度)38本目)。 (ひとつ前の作品は「ゴジラ-1.0/C」、次の作品は「燈火(ネオン)は消えず」) ミニシアターで、当該監督さんの特集がありその一環でみてきました。 原作小説や元の(リマスター前の)映画があるので、それを超えることはできないかな、といったところです。 戸籍うんぬんについては、やや行政書士の資格持ちの立場からは微妙なところがあるのですが、戦後の混乱期においてこのような行為が行われていたということは容易に推知・推測が付く範囲だし、それほど突飛な設定ではないかな、といったところです。また、映画が古いためややハンセン病ほかいわゆる「病気」の差別についての配慮がない点については、2023~2024年で「復刻上映で見るという観点では」気にはなりましたが(断り書きなどはなし)、まぁそれも許容範囲の一つなのだろうと思います。 ミステリーものとして見る場合、時代背景がいまから70年前といった事情や法律の取締り(特に戸籍関係)という違いもあるため、やや「当てにくいかな」という部分はあります(それらしい発言からある程度推測はできますが)。ただその分、この映画はそういった事情よりも戦後間もない時代に取られた映画で戦後の混乱期にどのような混乱が生じていたのかという点を含むところに鑑賞意義(知識を吸収する意義)があると思います。 採点上特に気になる点はないのでフルスコア切り上げにしています。 なお、VODなどでは最初の30秒くらいは見られるしVODでも見られるようなので(ただしリマスター版ではないらしい)、放映されている映画館の少なさという観点ではVODもやむなしかなというところです。
ノスタルジアを喚起する悲劇のシーンの数々
日本では社会批判を良しとする文学観が長く続き、太宰治は芥川賞を獲れなかったし、村上春樹も芥川賞選考委員から蹴られた。その代わりに、今や読者が限られてきた社会派の石川達三や松本清張が芥川賞を獲っていた。 その松本の代表作の映画化が本作らしい。小生は『点と線』くらいしか読んでいないので知らなかったが、内容は完全な社会批判である。 日本では「ライ病」ないしは「ハンセン病」と呼ばれる皮膚病に対する隔離政策が1931年から取られたが、後日、その措置が適切だったかどうかの議論が起こっていく。 病気による差別と、それに起因した親子をはじめとする人間関係の悲劇を描くことによって、社会の是正を訴える――本映画はそんなテーマだったのだろう。 ハンセン病は現在、治癒できるとされており、らい予防法は1996年に廃止された。ハンセン病政策の転換遅れの責任を追及する国賠訴訟も提起され、2001年に元患者側の勝訴が確定している。 そうした時代の変遷を経て、現在、本映画を観るに「ああ、昔は大変だったんだろう」という感慨は湧いてくるのだが、それ以上の感情はちょっと持ちようがないというのが正直なところだ。社会批判をテーマとする作品は、社会的問題が変われば存在意義がなくなる。そんな印象を否定できない。 …いや、ちょっと違うのではないか。本作にはそれだけで片付けてしまえないものがある。 例えば、丹波哲郎をはじめとする昭和の名優たちの演技の見事さ、彼らが動き回る舞台のリアルさはどうだ。昭和の暑苦しい夏に汗を拭きながら歩き回る刑事たちの姿はどうだ、緑濃い山村の景色はどうだ。一か所に定住できず裏日本の海岸伝いにさ迷い歩くライ病の父子の哀れな放浪生活はどうだ…。 そうしたノスタルジアを喚起する諸々のシーンが、今や葬り去られた悲劇の代わりに浮上してくるのである。監督はひょっとしたら、こうした時代の変遷を見越して、古き良き昭和を映像に定着させたのではないか、とさえ思われる。見事としか言いようがない。
芥川也寸志さん
ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を聴いて、久しぶりに「砂の器」の音楽を聴きたくなり、録画済みの本編の捜査会議場面から見始めました。 封切り当時、映画館で観て、その後 何度も何度も観てきた映画なのに、今回初めて気付いたことがありました。 ご存知の方には「今さら」の話題かと思いますが、最後の演奏会が始まる直前の楽屋の控室の場面に、なんと音楽監督の芥川也寸志さんが登場しているではありませんか! 打ち合わせテーブルの端に座って、ほんの数秒間ですが、一瞬カメラに顔を向けられます。 私の母校の校歌を作曲してくださった方なので、以前から勝手に親近感を持っていましたが、こんなところでお目にかかるとは…。 改めて驚きました。
カメダ‼️
野村芳太郎監督の松本清張原作の映画化としては「ゼロの焦点」「鬼畜」「疑惑」みたいな秀作がありますが、「張込み」と並ぶ最高作ではないでしょうか⁉️ただこの作品に関しては、山田洋次と橋本忍による脚本の力がかなり大きい‼️私は原作は未読なんですが、原作ではわずか数行の描写である、ハンセン病の親子の遍路の放浪の道行きが津軽、信州、北陸、山陰の美しく厳しい日本全国の四季の風物と共に映し出されるのがこの作品のハイライト‼️しかも捜査会議と大演奏会を合わせた三部構成にし、そこに重なる交響曲「宿命」の旋律が美しすぎて、ホント鳥肌モノです‼️津軽の寂れた浜辺で、打ち寄せる波が、宿命として親子二人にもおおいかぶさってくる‼️スゴいですよね‼️血のついた服をバラバラに刻んで、電車の窓からバラまく美しいシーンも印象に残ってますね‼️あと出演者に関しては、加藤嘉さん‼️私はこの人は生理的に苦手なんですが、「わしゃあ、知らん」と言い切った時の演技は切なすぎる名演でした‼️とにかく、この作品は、市川崑監督の「悪魔の手毬唄」と並ぶ日本ミステリー映画の二大至宝‼️多くの方々に観ていただきたいですね‼️
宿命とは
この世に生まれて来たことと、 生きているということである。 脚本が素晴らしいときいていたが、 本当に素晴らしい映画だった。 前半の字幕での説明と 後半の宿命の演奏の間に父子の旅を映像で見せる対比。 涙なしでは見られない。
映画とはこういうもん!
警察官の捜査としては現在(2015年)から観れば 少々ゆるい所もあるのですが、そういう自由のあった時代の作品。 全く関係無く見えている複数のものが やがて1つに集約されて行くのは サスペンスやミステリーの醍醐味なのですが それが、海外では無く日本の原風景の中で展開してゆく この映画の映像の美しさは記録映画としても価値あるものでしょう。 昭和の名優達のほんのワンカットの出演シーンも あら!こんな所にこんな人が!と言う見つける楽しさあり 長い物語の中に引き込む力がやっぱ半端無いと言うか まさに映画とはこういうもん!と言って遜色無い作品です。 実のところ、音楽の才能は、この映画の様な 簡単なもんじゃ無いな〜〜と 思うところもあるのですが、 そこは映画として勘弁して下さい。 一番大事なのは、 この作品の悲劇の元は形を変えて今でも残っているし 無知と貧困の残酷さは今の方が大きいかもしれません。 時代を超えて、人々に突きつけられる課題だと思いますわ。
父と子がたどった壮絶な運命には心を動かされた。 ただ、それまでに手...
父と子がたどった壮絶な運命には心を動かされた。 ただ、それまでに手がかりがほとんどない雲をつかむような捜査が延々と続くのは長く感じた。 そもそも加藤剛はなぜ恩人である緒方拳を殺害したのか、動機が今一つだった。 また、加藤の犯行の証拠を「浮気相手」が列車の窓から捨てるとか、サスペンスとしては考えられない。
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