「削ぎ落とした」砂の器 ずんさんの映画レビュー(感想・評価)
削ぎ落とした
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原作から映画化するにあたり主題を明確にし、余剰なところを削ぎ落とし収斂された作品。
為に、全編通して緊張感があり、後半は殺害に至る事情を情感豊に哀しく顕かにする。
ハンセン病のことをググってみた。
そうすると千代吉親子のおかれた状況に同情するとともに、まだ当時は建前と現状が合致していなかったことを知らされる。
公開当時、ハンセン病は完治する病であるとは知られていた。
原作当時もそう。
ただ、何故か日本では隔離政策がまかり通っており、社会的な差別・偏見は改善されていない。
千代吉のような患者はいないと言われているが、現実は療養所に隔離されていた。
しかも子を持つことが許されていなかったとのこと。
調べてみるとひどい話がいくらでも出てくる。
その現実を知って改めて思い返すと、千代吉が秀夫に持つ親子の情がなんとも深いものであることに気付かされる。
“宿命”とは言うが、それって社会が産み出した偏見が根底にある。
人の持つ業の深さが思われる。
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