「この時点での伊丹映画の集大成じゃないかな」スーパーの女 ねこたまさんの映画レビュー(感想・評価)
この時点での伊丹映画の集大成じゃないかな
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テレビで2回観たことがありました。
伊丹十三映画の中で、今まで一番好きだった映画です。初めての劇場鑑賞でした。
この映画は、やはり面白い。
脇を固めるのは、あき竹城さん、松本明子さん、三宅裕司さん、柳沢慎吾さん、伊集院光さんなどの曲者揃いですが、みんな当て書きみたいにハマッています。それに、矢野宣さん、六平直政さん、高橋長英さんの憎まれ役も役者が揃って素晴らしい。
冒頭でスーパーの裏の仕掛けを明かして観客を引き込み、中盤で健気なスーパーの経営に感情移入させ応援させて、主人公達の終盤の大きなピンチで楽しませる。
伊丹十三映画の面白さが満載でした。
その一方で、「マルサの女」から「ミンボーの女」までは生き生きと魅力的に描かれていた憎たらしく手強い仇役が、影を潜めてしまった。
同時に、これらの伊丹映画がターゲットにしてきた社会悪みたいなものへの告発も薄くなっている。
この2つが完全に消えた訳では無いけれど、「大病人」から、伊丹映画のテーマの方向性は大きく舵を切ったように感じます。
良く言えば、原点回帰で円熟したテクニックが加わっている。
悪く言えば、小さくまとめて目立たないように技法に走っている。
でも、私はどちらも好きですね。
私が特に好きなのは「マルサの女」と「スーパーの女」ですが、「スーパーの女」は、この時点での伊丹十三さんの一定の集大成じゃないかな。
さて、9本も楽しんできた伊丹映画も、あと1本。
来週の「マルタイの女」を残すのみです。
あ、クライマックスのカーチェイスのドライバーで、佐藤蛾次郎さんが出ていました。
笑
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