スウィートホームのレビュー・感想・評価
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どこでこわれたの oh フレンズ
1989年1月公開作品
DVD化無し配信無し
黒沢清監督が伊丹プロダクションを相手に裁判沙汰になった悪影響で未だにこのザマだ
しばらく前にアマゾンでVHSを購入していた
なぜかすっかり忘れていた
久々の鑑賞
おそらく30数年ぶり
気づかなかったがYouTubeでも鑑賞できる
VHS購入時の頃は何らかの理由で一時的に観れない状態になっていたのかもしれない
監督と脚本は『地獄の警備員』『スパイの妻 劇場版』『蛇の道』『Chime』『Cloud クラウド』の黒沢清
制作総指揮は『お葬式』『タンポポ』『マルサの女』『マルサの女2』『あげまん』で監督を務めた俳優の伊丹十三
伊丹監督の映画作品の助監督を務めていた黒沢清の長編映画デビュー作
粗筋
番組制作のため30年前にすでに亡くなっている高名な画家の間宮一郎の邸宅を訪れたTV局関係者
早川秋子ディレクターと星野和夫プロデューサーと和夫の娘エミと田口亮カメラマンとレポーターのアスカ
秋子と和夫は恋仲でエミは2人をくっつけようと思っていた
間宮邸には彼の未発表の作品が眠っておりそれらをTV番組で公開するのが目的で5人は遠路遥々東京からジープでやって来た
村の人里離れた古い邸宅は間宮の妻子も亡くなっており無人で放置されていた
間宮邸は呪いの館だった
間宮夫婦の間に待望の子供が生まれたが幼い頃に焼却炉に入りこみ遊んでいたところそれに気づかずに間宮夫人が火をつけてしまった
夫人が気づき急いだ助け出した時はもう既に手遅れだった
それからというものの村から次々と幼い子供が神隠しにあう騒動が起こった
犯人は間宮夫人
我が子を失い精神的におかしくなった夫人は次々と村の子供たちを間宮邸の焼却炉で焼き殺した
村人たちに問い詰められた夫人は自殺した
間宮夫人の呪いで間宮邸で次々と殺される人々
カメラマンもレポーターも地元のガソリンスタンド店主も無惨な姿で呪い殺されていく
1989年という時代を考慮すれば十分にジャパニーズホラーの佳作
当時の日本映画の技術の全てを注ぎ込んだに違いない
U-NEXTさんあたりが交渉に尽力し動画配信してもらいたいものだがYouTubeにしたって違法性が高くいつ削除されるかもわからず幻の作品と言っても過言ではない
なぜかレベッカのボーカルのNOKKOがエミ役で俳優として出演している
当時高校生だった自分はそれだけでだいぶ衝撃的だった
あの頃の自分としてはありえない大胆なキャスティング
演技経験が乏しいわりにそれほど悪くない
プロモーションビデオなどでそれらしきこともやっているので下地はあるのかもしれない
あともう1人元テレ朝でフリーアナウンサーになったばかりの古舘伊知郎も俳優初挑戦
素人にしては悪くはなかった
上半身だけになってしまうシーンなんて特に
その年の4月から放送されたNHKの朝ドラ『青春家族』にも出演していた
橋爪功いしだあゆみ清水美砂稲垣吾郎演じる4人家族中心のドラマで家主の末の弟が古舘の役所
これまたフリーアナウンサーになったばかりで俳優初挑戦にも関わらず次弟役で朝ドラ初出演した逸見政孝の大根ぶりが衝撃的すぎて古舘の印象はあまりない
この作品は映画館で鑑賞していないので古舘の演技を観たのはおそらく青春家族の方が先だと思う
YouTubeでこそ観れるがやはり正式に動画配信してもらいたいものだ
黒沢監督や宮本NOKKO古舘ら当時の出演者を交えオーディオコメンタリー付きでDVDを制作してくれればこれ幸い
『スゥィートホーム』はファミコンでゲーム化もされている
『バイオハザード』はこのゲームに影響されて制作されたらしい
プロデューサー(または制作者)と監督の対立はよくあること
奥山バージョンと黛バージョンで同時公開された『RAMPO』もその一例の一つ
そういえばこの作品もセガサターンでゲーム化されている
山城新伍のことだからNOKKOに手を出したのではないかとちょっと心配するが噂はないので多分まあ事務所側がつきっきりで守ってくれたのだろうから大丈夫だろう
エンドクレジットは間宮邸(模型)の静止画
クレジット終了すると最後には間宮邸が崩壊
海外作品には殆どない日本映画ならではの演出
村上春樹によると外国ではエンドクレジットが始まれば退席するのが大多数らしい
日本では最後まで観るのが大多数
それなりのわけがある
配役
TV局のディレクターの早川秋子に宮本信子
TV局のプロデューサーの星野和夫に山城新伍
和夫の娘の星野エミにNOKKO
テレビ局のカメラマンの田口亮に古舘伊知郎
TV番組のレポーターのアスカに黒田福美
間宮邸から1番近いガソリンスタンドの店長の山村健一に伊丹十三
亡くなった間宮家の主人である間宮一郎の妻に渡辺まち子
和夫の若い上役に益岡徹
役場の職員に三谷昇
なに召されてるの!?
今夜(2024/06/08)観ました。
Youtubeにぶつ切りでアップされているもので、画質音質ともに良好とは言い難いクオリティでしたが、エンドロールまで観終えることができました。
日本のとある場所にある間宮邸に壁画があるとの事でテレビクルーが赴き酷い目に遭う、みたいな話です。
まず第一に気になるのはレベッカのNOKKO扮するエミの実年齢でしょう(笑)子供っぽい服装に子供っぽい話し方ですが、見た目はどう見ても二十代で困惑します😅
次に、ホラーを謳いながら非常にスロースターターで、オープニングから気分がダレます。わざとらしい音楽も耳障りで、恐怖映画を観ている気分が削がれます。
全編セット感は否めず、“引きのシーン”はほぼ皆無です。暗いシーン、アップのシーンが目白押しで誤魔化し感は拭いきれません。
古舘伊知郎、黒田福美、伊丹十三がこの映画の犠牲者ですが、古舘伊知郎は胴体を切断されて助けを求めているだけなのに黒田福美にスパナで殴り殺されてちょっぴり不憫でした😅…黒田福美もその後斧で頭を割られて死にますが💧
おいしいのは伊丹十三で、勇ましい歌を歌いながら間宮夫人に挑み、エミちゃんを救出したのち全身がちょっとずつとろけて白い汁を穴という穴から垂れ流して最期はガイコツになって崩れ去ります。
恐れ慄きつつも一部始終をしっかり見届けてから逃げる宮本信子、山城新伍、NOKKOの3人の姿に勇気を貰いました(笑)
その他、間宮夫人の悪趣味なデザインの服を着た宮本信子の姿に複雑な気分になり、最終的に間宮夫人(自分の子供と同年代の子を次々に生きたまま焼却炉に入れて焼き殺していた張本人)は、自身の子の亡骸と再会し、まるで清廉潔白だったかの様な女神の微笑みをたたえて天国へ召されていきました。…これは絶対に看過できません。理由はどうあれ無差別に無垢の子供を焼き殺していた殺人鬼が、浮かばれていい筈がありませんから。
80年代として最新鋭の特殊メイクを駆使して、恐ろしい映像を作り出した点は評価出来ますが、諸々踏まえて考えると星ふたつが限界です。
タイムカプセルとして観ると面白いですし、ホラーとして観るよりはおかしな点に注目して観る方が万倍楽しめると思います。
宜しければどうぞ。
黒沢清監督・幻の初メジャー作品
監督は伊丹十三ではなく「黒沢清」です。間違えられやすいけど。
当時、CMでも随分流れていたし、誰でも知ってる有名作品のような気でいたが、実はすっかり知る人ぞ知るマイナー作品になってしまっているのね。
ヒルコが塚本晋也監督の初メジャー映画ならば、こちらは黒沢清監督の初メジャー。
(当時はすっかり、伊丹十三による伊丹十三の為の映画、だと思い込んでいたがw
大人で良い役なのは伊丹十三(山村)と、リア奥さんの宮川信子(秋子)だけだもん。
当時、人気ロックバンド「レベッカ」で一世風靡していたNOKKO(エミ)も、割と好演している。)
「マイナー」だとか「幻の」になってしまっているのは、ビデオ化に際して若き日の黒沢監督が伊丹プロを提訴した為。
黒沢氏の敗訴によりビデオ化は是認されたが、結局どこもDVD化していない。
ついでに黒沢氏を使おうとする映画会社も無くなっていく。「面倒くさい奴」というレッテルを貼られたのだろう。
ビデオカセットは当然とっくに絶版だし、VOD調べてみたけど、少なくとも今日はどこも扱ってないね。
しかしだね。NHKが「世界のクロサワ」とか放映するからてっきり黒澤明かと思えば黒沢清だった。
まぁ、それが「令和」って時代なのかな。変化は受け入れていくべきか・・・。
黒沢ホラーの原点という事になるが「黒沢監督らしさ」の片鱗はすでに打ち出されている。
一つ目は「廃墟」
黒沢監督がピーター・カッシングのフランケン・シュタインやクリストファー・リーのドラキュラに代表されるゴシックホラー好きである事は間違いない。
「廃墟となった田舎の洋館」(しかも城レベルにゴージャスな)が、不穏さ・不気味さを増幅する装置として設定されている。
二つ目はビジュアル重視の美術やセット。「こんな家、日本にある?」なんてリアリティ追求の野暮は言いっこ無し。今ならダーク・ファンタジーと言った方がわかりやすいかもしれないが、黒沢作品は敢えてゴシックロマンと呼びたい。
三つ目は「唐突な恐怖と死」
早めに1回、ゴアシーンを盛り込むことで「いつ、恐怖シーンが来るかわからない!」という緊張状態に観客を持ち込む事を明確に狙っている。
これだけ視聴困難なレア作品になっちゃったなら、あらすじも書いた方がいいのかなぁ?
いや、検索すればあらすじ書いてるサイトがHITするから知りたい人はそちらをどーぞ。
私は「ファミコンソフト」を何度も何度もクリアしたから、あらすじは忘れようにも忘れられないくらい覚えています(笑)
最近のJホラーと違い、バッドエンドではないから、嫌いじゃない。
とりあえず配役書くね。
田口、無神経で浅はかなトラブルメーカー。若い女好きでアスカを気にしている。
アスカ、美人だが、プライドが高く気難しい。やや高慢な印象も。
和夫、気弱で優柔不断。鈍感なくせに頑固。妻を早くに亡くし、娘のエミと2人暮らし。
秋子、聡明で謙虚で勇気と行動力を兼ね備える素晴らしい女性
エミ、秋子を慕い、父と秋子が互いに好意を抱いている事を歓迎している。
山村、何でも知っている豪胆で頼りになる老人
はい、ここで問題です。
「最初のゴアシーンの餌食になるのは一体 誰でしょう?(笑)」
本作で特筆すべきは「エクソシスト」などの特殊メーク第一人者、ディック・スミスにSFX指揮を引き受けて貰えた事でしょう。
間宮夫人の特殊メークは四谷怪談のお岩さんがモチーフ。中川信夫監督の名作「東海道四谷怪談」をディック・スミスに観せて、練り上げていったそうだ。
山村役は、てっきりプロデューサーだからだと思っていたが、真相は「伊丹十三がスミスさんにメイクして貰いたかった」という事らしいね(笑)
あの伊丹十三が、はにかんだようにもじもじと黒沢監督に告げたようだから微笑ましいw
脚本に対しては
「地下室に向かう前に、和夫が拾った土偶を返していれば、山村は死なずに済んだんじゃないの?」とツッコミ入れたものだが、それだとメイクして貰えなくなるからダメなんだな?(爆笑)
ディック・スミスの手がけた特殊メーク作品を挙げれば
「真夜中のカーボーイ」「エクソシスト」「ゴッド・ファーザー(マーロン・ブランド)」「タクシー・ドライバー(ロバート・デニーロ)」と錚々たる名作揃い。
「アマデウス」の老サリエリでは、アカデミー賞のメイクアップ賞を受賞する。
この中に「スウィートホーム(日本)」って並んじゃうんだから、ちょっと凄くないか?
一度メークを施したら、必要なシーンは出来るだけすべて取り終えてしまわねばならない。役者にもスタッフにも大変な撮影である。
今ではすっかりCG技術に置換されてしまった分野だが、丁寧に作り込まれたSFXメーク技術ならではの質感を味わって欲しい。(特に山村さんw)
和製ホラーの怪作
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