心臓破りの丘
劇場公開日:1954年1月9日
解説
ボストン・マラソンで第一位となった山田敬蔵選手をモデルに「続々十代の性典」の須崎勝弥が脚本をかき、「再会(1953)」の木村恵吾が監督した。題名はボストン・マラソンの難コース「ハアト・ブレーキング・ヒル」から採っている。撮影は「続々十代の性典」の姫由真佐久、音楽は「紅椿」の飯田三郎。「母の湖」の根上淳、「にごりえ」の久我美子、「女の一生(1953)」の宇野重吉、英百合子、北林谷栄、「夜明け前」の滝沢修、「無法者」の清水将夫、二十年ぶりで帰朝したフランク・熊谷などが出演する。
1954年製作/86分/日本
劇場公開日:1954年1月9日
ストーリー
ヘルシンキ・オリンピックで二十六着となり、故国の期待を裏切った責任感から、すっかりマラソンへの自信を失ってしまった秋田鉱山の上田栄三選手は、所長の娘、幼馴染みの夏子や、村のスポーツ和尚慧海のはげましにも、ただしょんぼりするばかりだった。父親の朝治は昔気質の頑固一徹な性格、こんどの惨敗が心底から口おしく、栄三の立場はわかりながらもついつい辛く当りがちである。彼の昔の仲間、今はアメリカ帰りの新任所長と時めく伊谷市松は、喧嘩仲間の朝治の手前もあり、栄三の再起を願う心は一つながらやはり彼へ向ける眼は冷めたかった。夏子は栄三を愛していた。彼の再起を願うあまり、単身、父母に内緒で出京し、マラソンの金田監督をつれてきて、共々心から彼の立ち直りを促した。瀕死の床にある祖母もよの説諭もあって漸く勇気と自信をとりもどした栄三は、毎朝のはげしいトレーニングを開始した。そんな彼に夏子や慧海和尚はもとより、朝治や伊谷所長までひそかな声援を送った。--ボストン派遣予選ではゴール直前まで一位を保ちつつ、倒れて惜しくも四位となったが、しかし補欠選手として再び世界の強豪と相まみえるチャンスを得た。全村あげての見送りのうち、今は亡き祖母の面影をむねに勇躍出発した彼は、やがて晴れの大会で第一位優勝の栄を獲得した。