「本作の良いところは、今までの沢山の新選組の映画で様々な派手な演出まみれになってしまい、何がスタンダードな演出なのかわからなくなりがちな中、本作はかなりスタンダードに思えるところです」新選組(1969) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
本作の良いところは、今までの沢山の新選組の映画で様々な派手な演出まみれになってしまい、何がスタンダードな演出なのかわからなくなりがちな中、本作はかなりスタンダードに思えるところです
新選組
1969年 東宝配給
新選組の映画は数多くどれから観たらいいの?という新選組初心者の方にお勧めです
新選組の始まりから終わりまで、有名エピソードを取りこぼしなく過不足なく要領よくテンポよく紹介してくれます
本作の良いところは、過度な脚色演出を極力排していて、今までの沢山の新選組の映画で様々な派手な演出まみれになってしまい、何がスタンダードな演出なのかわからなくなりがちな中、本作はかなりスタンダードな演出に思えるところです
京都の新選組にゆかりのあるところにいって現地の光景や、現地での説明を見たり聞いたりして知った、史実や伝承にもっとも近いものと思いました
特に、壬生の八木邸、前川邸での新選組壬生屯所の数々のエピソードでのシーンはキチンと今も現存する当時の建物に当たって考証され撮影されたものであろうと推察できるものです
芹澤鴨暗殺シーンは現場になった八木邸で見聞きしてきたあらましに一番近いものでした
池田屋事件はもはや池田屋の建物はとっくの昔に失われていますが、色々な資料から実際はこうであったであろうというものにほとんど矛盾しません
過度な演出は無いと言っても階段落ちはチャンと見せてくれます
三船史郎が近藤勇役です
ありそうであまりありません
かなり役にはまっていて全く文句ありません
土方歳三は小林桂樹
非情冷酷の土方歳三のイメージはこのひとにはあまりそぐいません
が、新選組副長には見えます
本当はこのような人物に近かったかも知れません
沖田総司は北大路欣也
元気溌剌過ぎて余命幾ばくもないというふうにはとても見えないのが残念なところ
芹澤鴨は三國連太郎
メチャクチャぶりが良く表現されていて、初期の新選組の評判の悪さの理由が手際良くわかります
本作を見れば、一通りの新選組のエピソードに通じることができますし、もっともスタンダードと言える映像ですから、まず最初に本作を見ておけば、それから山のようにある新選組の映画をお好きにご覧になると、ああ、あの話ねと理解もし易くなります
ついていけないということはなくなると思います
しかも、これは目新しい演出だとか、従来とは違う解釈での脚色だとかが分かるようになると思います
お勧めです