「「ヤマアラシのジレンマ」の映画」新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に けろ教授さんの映画レビュー(感想・評価)
「ヤマアラシのジレンマ」の映画
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30周年記念のリバイバルで再見。TV放映から30年経つのかと思うと感慨深い。DVDでもこの映画は繰り返し見ているので、展開はすべて分かっている。それでも見入ってしまう。しかも見ていて涙が止まらないというのは、歳をとったせいか?それともビールのせいで前頭葉の規制が緩くなったせいか?
この映画、特に第26話の「まごころを、君に」がよく分からないという人は多い(「まごころを、君に」は、『アルジャーノンの花束を』を原作とした『まごころを君に』のエンディングロールがない点を踏まえているのだろう)。それは分からない訳でもない。TVシリーズを観ていないと分からず、しかも映画単独としては説明不足である上に、初公開当時の状況を踏まえないと理解できないからである。ただ、この映画の主題は「ヤマアラシのジレンマ」であることは明らかであって、「人類補完計画」などの表層的なストーリーを追いかける必要もない。他人との距離感がテーマの映画なので、性描写も含めて、登場人物たちのセリフをそのまま理解すればよい。
改めてこの映画を観て思ったのは、この映画が約30年(正確には28年)の月日を経てもなお鑑賞に堪える作品であるということである。しかも、年齢を重ねると共感できることが多い映画である。この映画を観てよく分からないという若い人たちは、(恋人も含む)他人との距離感についてあちらこちらと頭をぶつけて、一通りの経験をした40代以降に観てもいいかもしれない。
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