仁義の墓場のレビュー・感想・評価
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ヤクザの中のヤクザをヒーローに出来た幸福な昭和
不粋な公権力は悪、義理堅いヤクザが寧ろ善と幻想し、ヤクザの中のヤクザをヒーローに出来た幸福な昭和の歴史資料。
この男は只残虐で自堕落な薬物乱用者だろ。
実は深作欣二のブレまくるカメラは苦手。
この瞳のギラつきは渡哲也から弟の渡瀬恒彦に託されたのね。
岸谷五朗
深作欣二監督にしか、他の誰にも撮れない作品
正に仁義の墓場
仁義なき戦いの三倍は面白い
ヤクザ組織のヒエラルキーなぞ、どうでもよいという真のアウトローの姿に焦点が絞り込まれている
脚本も、強烈な印象を残す演出も、配役も
俳優陣の演技も何もかも見事そのもの
深作欣二監督にしか、他の誰にも撮れない作品だ
焼骨を食べるシーンは最早伝説
渡哲也の演技は演技というものを突き抜けて、異常な男を画面の中に現出させている
赤い風船とは一体何のシンボルだったのだろう?
もしかしたら彼が考える仁義のシンボルだったのかも知れない
石川が墓に仁義と大きく彫らせた意味を監督が解釈した映像表現だったのだと思う
多岐川裕美の配役は特に秀逸
彼の人生のもうひとつの赤い風船であったことを見事に表現した配役と演技。それを引き出した演出と撮影だ
1946年の新宿、大阪西成のシーンは目を奪われる強烈な再現ぶりだった
ラストシーンの墓がある寺は西新宿7丁目に今も実在します
日蓮宗 常圓寺という寺です
大ガードから青梅街道を西新宿に向かって徒歩10分程、末広がりの形で有名な超高層ビルの向かいです
近くの高層ビルから寺を見下ろすと
ラストシーンそのままの光景を今も見ることができます
実録路線東京破天荒ヤクザバージョン
深作欣二 × 渡哲也
渡哲也が死神的ヤクザ石川力夫を演じているのだが、これがもうヤバイヤバイ。破滅しか道のない男そのもの。深作演出もグイグイ来てた。
ドキュメンタリー風ナレーションの小技も効き、この死にゆく者を冷たく捉えていた。渡哲也の暗黒面の極北。
役者はいつもの面々だが皆良い。特に梅宮辰夫と成田三樹夫。多岐川裕美が美しい。音楽もあの音色で盛り上がる。血糊が噴出す東映テイストたっぷり。
深作欣二映画としては外せない一本。
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