「狂熱終焉…仁義なき世代交代!」仁義なき戦い 完結篇 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
狂熱終焉…仁義なき世代交代!
「仁義なき戦い」シリーズ第5作。
Blu-rayで2回目の鑑賞。
原作は未読です。
第三次広島抗争を軸に広島やくざたちのその後の姿が描かれました。前作まで脚本を書いていた笠原和夫が降り、これまたやくざ映画を数多く手掛けている高田宏冶が登板。「頂上作戦」までで全て描き切ったから次を描く気にならないと云う理由で降板したとのこと…。
確かに蛇足感は否めない。ですが、やくざたちの世代交代を描いたドラマは、諸行無常の響きがあり、長年に渡り激烈な争いを展開して来た男たちの虚しい去り際の背中に、とてつもない哀愁を覚えました。
警察の目を逃れるため、広島やくざたちは武田の元で団結し、政治結社“天政会”を組織していました。表向きは暴力団で無くとも実態はそのもの。呉と広島の小競り合いを発端として、内部抗争が勃発しました。
抗争を仕掛ける市岡のギラギラさが浮いているように見え、歴史に淘汰される前の最後の閃光のように見えました。その死はまさに時代が変わったことの証明だなぁ、と…。「そこら辺の店ササラモサラにしちゃれぃ!」…ササラモサラってなんじゃらホイ?(笑)
戦後世代の若者たちが多く登場し、青春の昂ぶりを暴力へと昇華させようと気炎を上げました。そんな若者たちが放った銃弾によって、第1作から登場していた槇原や江田が殺害されてしまいました。有り余る暴力衝動を迸らせ権謀術数を張り巡らし、熾烈な戦いを生き抜いて来た男たちの最期としてはあまりにも呆気無く、容赦一切無しの無情さと一抹の寂しさを感じました。
完全に世代交代の波が押し寄せていることは明白で、もはや我々の時代ではない…。出所後の広能が下した進退に関する決断も、移り行く時の流れには逆らえず、流される血と自分たちのやって来たことの無情さに否応無しに向き合わされた結果のように思われて、心が揺さぶられました。
※追記(2020/01/21)
宍戸錠さんが亡くなりました。
本作では大友勝利役を千葉真一より受け継いで、圧巻の演技を見せてくれました。「牛の糞にも段々があるんで!」と云う名ゼリフはまさかのアドリブ…! 梅毒に脳を侵されているという設定の中、強烈な存在感を示していました。
心より、ご冥福をお祈り致します。
※鑑賞記録
2021/01/08:Blu-ray(3回目)
地蔵菩薩さんへ。
お疲れ様でした。
マジですか!
それはヤバい!
…と思ってWikipediaで調べてみたら、宍戸錠が1/18で松方弘樹が1/21と書いてありました…。
syu32氏🙇お疲れ様です。
次々亡くなる昭和の人々…その度に観なおす、数々の名作…『人は2度死ぬと言われる、1度目は肉体の死、2度目は人々の記憶から消えた時』…後世に残る作品を残している人は二度死にません。