「仁義とは何か」仁義なき戦い TSさんの映画レビュー(感想・評価)
仁義とは何か
数ヶ月前に観たが、どう感想をまとめればよいかわからず、レビューを書くのは諦めて忘れていた。北野武の「首」を観て、この作品を思い出した。
戦国時代とヤクザの世界は共通点があるのかもしれない。最後は武力で物事を解決するという意味で。
この映画が公開された当時、社会現象になったようだ。続編も次々製作されている。この作品に影響を受けた映画や映画監督も数知れずという。当時としては、「今まで観たことのない映画」だったのだろう。戦後の空気感もまだ残っていたからかも知れない。
そういう空気感の無くなった半世紀後の今観ると、興奮や衝撃は感じられなかった。とにかく速いテンポで話が進み、あっけなく人が死んでいく。ほとんど故人になってしまったが、若かりし頃の名優達が現れては消え、表れては消え。ひたすらその繰り返しのように見えるが、ヤクザの世界も徐々に変わっていく。
劇中、菅原文太が松方弘樹に「どこで道間違えたんかのう」と問う。これはどういう意味か。ヤクザの世界にもあった「仁義」や「任侠心」がすっかり無くなったという意味か。
そんなものがヤクザの世界に最初からあったのか。そもそもカタギの世界含めて、社会全体にそんなものがあるのか。
特に深い意味がある台詞ではないかもしれないが、この言葉が引っかかった。
この映画の影響を受けた映画「孤狼の血」で主人公が吐く台詞を思い出す。「じゃあ聞くがの。正義とはなんじゃぁ?」。
私は妙なところで引っかかって、考え込んでしまったが、深読みなんかせず、気楽に観て、スカッとした気分になればいい大衆娯楽映画なんだと思う。
最近こういうテイストの映画ではなく、観客に考えさせる映画が評価されるようになってきているから、影響を受けているのかもしれない。映画は難しい。