「映画史に残る名作を劇場で観れた感動と興奮。」仁義なき戦い マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
映画史に残る名作を劇場で観れた感動と興奮。
映画館は再開されても新作映画の公開はまだまだ躊躇されている状況で各館で過去の作品が再上映されていると中には"観たいな~"と思うのよりも"別に正規料金に近い金額を払ってまで過去作を観るのはどうかね?観ようと思えばDVDでも良い訳だし"と思っている御仁も多々おられると思います。
勿論、見逃した作品が映画館で観れる喜びはありますが、どうせなら何十年も前に上映されていて、リバイバル専門館でもなかなか観られない作品の上映の方がいっそ清々しい感じがします。
そんな"今映画館での観賞は無理!"って作品が上映されているとやっぱり興味はそそられる訳で、銀座の「丸の内TOEI」で「仁義なき戦い」が上映されると聞いて俄然興味が沸いた訳です。
なんでも「故・深作欣二監督生誕90年、日下部五朗プロデューサー追悼特集」の特別上映らしいのですが、なんせ60~70年に一世を風靡した任侠映画の中で大ヒットとなり、東映実録路線の中でも一際異彩を放つ「仁義なき戦い」を映画館で観れるのは映画好きにはたまらないんではないでしょうか?
と言う訳で時間を調整して観賞しました。
で、感想はと言うとめっちゃエネルギッシュ!
タイトルは仁義なき戦いですが、主人公の広能昌三は仁義に翻弄されていて、その苦悩が荒々しく迸っています。
今から47年前の作品で今の作品に比べ粗さは正直あり、臨場感を生むハンディカメラの撮影も見辛さはあり、セリフにセリフが被っていたりで聞き取れにくいのもありますが、深作欣二監督の「細かい事はどうでもいいんだよ!」と言わんばかりの様々な手法がスクリーンから迸るエネルギーとダイナミックさを生み出し、観る側を圧倒して来ます。
映画産業が熱かった時代の熱気が感じられ、劇場で観れた事に満足♪
何よりもあの東映のオープニングから始まり、「仁義なき戦い:メインテーマ」が流れるとやっぱりゾクッとざわっとしますねw
多くの方が語られている名作ですが、ヤクザ映画でありながら、優れた群集劇であり、今のヤクザ映画の基本となる物が全て詰まっています。
それぞれの個性豊かなキャラクターがシビアな極道社会に翻弄されていく中のは刹那でありますが、何処か憎めない所もあり、現在は故人となられた方々も多いんですが、スクリーンに映る方々の勢いがこれでもかとぐいぐいと迫ってきます。
主人公の広能昌三役の菅原文太さんを始め、松方弘樹さん、梅宮辰夫さん、伊吹吾郎さん、渡瀬恒彦さんと魅力的な人物が登場しますが、やっぱり山守組組長、山守義雄役の金子信雄さんとおかみさん役の木村俊恵さんの個性は際立ってますね。
だからこそ、山守に翻弄される昌三の苦労が際立つ訳ですが、かなりコミカルにデフォルトされてますが、希代のキャラクターかと思います。
また、時折見せるコミカルな部分も良いんですよね。
史実を元にして製作されていて、映像化を熱望されながらも多大な労力と苦労を有する作品を映画化したのは役者・製作陣の熱意があっての賜物。
そんな貴重な作品を劇場で観れた事に感謝です。