「実録路線の原点」仁義なき戦い Hanaさんの映画レビュー(感想・評価)
実録路線の原点
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深作欣二監督作。東映は60年代以降時代劇の衰退からヤクザ映画の製作へと舵をとる。高倉健や鶴田浩二が主に主演した昭和任侠伝などは勧善懲悪、分かりやすいストーリーに任侠をいれたものだった。そのシーンへの反動か深作欣二は「実録」を掲げて彼なりの日本の戦後史への回答をしていくことになる。
凡庸なヤクザ映画とは異なり、時代を反映し批判した本作は傑作。公開直後から反響を呼び即続編の製作が決まったという。若いスタッフや役者が数多く、東映の社風もあってからか勢いが凄まじい。ハンディカメラで撮ったドキュメンタリー風のカメラワーク、血のりなど今なおスタイリッシュで斬新な暴力描写だ。
この映画に出てくるヤクザたちは題名の通り仁義など持ち合わせておらず、自らの保身や金と権力のために行動する。それが組織の拡大に繋がり、別の組織と利権を争うようになる。ヤクザの物語であるがこれは全ての人の生活においても普通のことだ。ヤクザと関係ないと思う人にこそこの映画を見てほしいと思う。
印象的な台詞が数々出てくる。最も印象的かつシリーズを通してこの物語の核心をつく台詞がある。「狙われるものより狙うほうが強いんじゃ」イモをひいていると一気に飲み込まれてしまう。覚悟を決めろ。
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