「高度経済成長期の終わり」新幹線大爆破(1975) 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
高度経済成長期の終わり
リメイク版が話題となっている50年前のオリジナル作を劇場の大画面で鑑賞。
タイトルと内容の過激さで当時の国鉄から協力を得られなかったとか、日本ではコケたものの海外で大ウケしたとかは知っていたが、作品を観るのは初めて。
当時流行のパニック映画にちなんだ企画とはいえ、原作なしのオリジナルで、肝心の国鉄の協力がない中で、ちゃんとした2時間半の大作になっていることに、まず感心する。
犯人は破産して金がないのにあそこまで綿密な準備ができるの?パニック映画にしては車内の乗客の見せ場がない、対策本部は男ばかりで女性が一人もいない、など突っ込みどころはあるが、その頃の日本映画界の状況を打ち破ろうとするかのような、出演者、スタッフの熱量の高さが伝わってくる。
左翼過激派による爆破事件、町工場の倒産、集団就職からの落ちこぼれといった、高度経済成長期の終わりを迎えた当時の世相がしみじみと理解できるし、その象徴として新幹線を爆破しようとするモチーフこそが過激なものだったのだろう。
豪華役者陣の中では、高倉健がこの作品をきっかけに役柄を一気に広げたことが有名だが、一番良かったのは宇津井健。二人が電話越しに対決するシーンとか、あっても良かった。
コメントする